バブル崩壊からポスト・バブルの長い低迷期に、企業経営は大きく変わりました。減量経営の一手法としてリストラは定着し、多くの中堅社員が会社を去りました。一方、非正規雇用の派遣社員、契約社員が職場に増えていきます。この間に、インターネットに代表される新しいテクノロジーの台頭も相次ぎ、社内外のコミュニケーション環境も一変しました。こうした多面にわたる職場の変化が、コミュニケーションのあり方を変え、ひいては人が育ちにくくなったのではないか。これが、今回の仮説です。(ダイヤモンド社人材開発事業部副部長・間杉俊彦)
かつて職場は
「擬似家族」だった
携帯電話の普及によって、私たちは「待ち合わせ」に苦労することがなくなりました。「誰かを待つ」という行為さえ、めっきり減ったのではないでしょうか。少なくとも、待つことにドキドキしたりワクワクしたりという緊張感はなくなりました。(ものごころついたときにはすでに携帯電話があったという若者には、ここまでの3行、なんのことやら理解不能でしょうね…)
私たちのコミュニケーションのありようを携帯電話が変え、eメール、インターネットが変えました。職場でも、隣の同僚にメールで連絡する、という光景が定着しています。
職場でのコミュニケーションを変えたのは、情報ツールだけではありません。働く人が変わり、社内の人的情報ネットワークも変わりました。
20年前、多くの会社もしくは職場は、「擬似家族」のような親密な空間でした。
そのころの雰囲気を、あるマンガはこんな風に描き出しています。
「なぜか笑介」の1コマ(c)聖日出夫/小学館 |
40代以上の方なら懐かしく思い出すのではないでしょうか?ビッグコミックスピリッツに長期連載された「なぜか笑介」の1シーンです。