
私立大学薬学部の定員割れが深刻だ。2024年度入学者で見ると、私立60薬学部(6年制)のうち31学部が定員割れ。このうち10学部は「入学定員充足率」(入学者数÷入学定員)が50%を切っている。つまり、定員の半分も埋まっていない。連載『教育・受験 最前線』では、全国薬学部の実力と経営にランキングで切り込む「薬学部ランキング」を複数回にわたってお届けする。第3回は全国私立60薬学部について入学定員充足率ワーストランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
東京理科大の薬学部が都内に移転
慶應、北里、星薬科、明治薬科、東京薬科と奪い合いも
東京理科大学は2025年4月から薬学部を千葉県の野田キャンパスから東京都内の葛飾キャンパスに移転した。他学部同様に薬学部も利便性の高い立地ほど受験生の人気を集めやすい。大学としてのブランド力も高い東京理科大の薬学部が都心に移ったことで、他の薬学部は戦々恐々としている。
競合となるのが慶應義塾大学、星薬科大学、北里大学、明治薬科大学、東京薬科大学だ。いずれも私立薬学部における入試難易度上位勢。薬学部関係者によると、優秀な生徒の奪い合いはあっても、今のところ生死を分かつ戦いではない。何しろこれらの大学の中に、2024年度入学者が定員を割ったところはない。
薬学部新設ラッシュで供給過剰になった末に存続が危ぶまれる薬学部は、大幅に定員割れを起こしているところだ。24年度入学者で見ると、私立60薬学部(6年制)のうち31学部が定員割れ。このうち10学部は「入学定員充足率」(入学者数÷入学定員)が50%を切っている。つまり、定員の半分も埋まっていない。
そこでダイヤモンド編集部では、私立大学60薬学部(6年制)を対象に、過去5年間のデータに基づく入学定員充足率ワーストランキングを作成した。
次ページでは、このランキングを一挙公開する。ワースト上位は、入学定員を削っても焼石に水になっているところも目立つ。