社長候補は
何を持つ人か

 社長候補は、どんな点に注力して育成するのか。言い換えればこれは、優れた社長が持つべき知識や力は何なのか、ということですが、特には、以下の3つの事柄でしょう。

1.判断軸
 まず最初に、社長に欠かせないものとして挙げたいのは、“判断の軸を持つこと”。言い換えれば、“揺るぎない価値観を持つこと”です。

 日本人は協調性や和を重んじ、「相手を打ち負かしてやろう」などとはあまり考えないタイプの人がほとんどですが、世界の人たちは、「勝ちたい」とか、「1番になりたい」といった主張をしっかりとします。

 グローバルなビジネスでは、そうした自己主張の強い外国人の中にあっても明快に自分の意見を伝え、もし相手が間違っていたら、それをきちんと指摘し、正しいことを行う強さが必要です。
そのためには、判断の軸となる自分自身の価値観を確立することが求められます。

 したがって、社長を育成するには、まずこの判断の軸を育てることが重要になるのです。

2.経営知識
 社長に必要な2つめの要素は、“企業経営に関する専門知識”です。

 リーダーとして、企業の目指す方向性を決めるためには、戦略や財務、マーケティングなど、経営に関する深く広い知識が必要になります。
しかし日本企業は、もっぱらジェネラリスト、あるいは、一生懸命仕事をするいい人を育てることに重点を置いてきたため、こうした知識を持つ経営のプロがいません。

 ですから、これからの人材育成では、経営判断に必要な専門知識を持った社長を育てることも必要です。

3.勇気
 そしてもう1つ、社長に必要なのは、なんといっても“勇気”です。

 競合や世界のトップレベル、ベストプラクティスは何をしているかということを常に学び、世界で一番になるルールを見極め、自社の置かれた環境を理解し、勝つための戦略を練る――社長は、そうしたことが全てできなければなりませんが、それでも勝つための方法が100%見えている人はいません。

 そこで、最終的に「この方向で行こう」という判断を下すには、知識や価値観に加えて“勇気”が必要になるのです。