人事部門の機能や求められる役割は、企業の発展段階により、あるいはときどきの経営課題により、変わるものです。では、いまの人事部門への期待感はどのようなものでしょうか。今回は「戦略人事」の定義を検討してみましょう。
変わりはじめた
人事部門への期待感
「人事部よ、さようなら」という挑発的な内容のハーバード・ビジネスレビューの記事がアメリカで大きな話題になっています。
この記事を書いたのは、ハーバード大学教授のラム・チャランです。
ご存知の方も多いと思いますが、人事部は、アドミ中心の旧来型の人事からより戦略的な人事に転換すべきである、という議論は、15年以上も前からミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授らが指摘していることです。
実際、戦略人事への転換を目指して、多くの外資系企業は、デイビッド・ウルリッチ教授が「MBAの人材戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)の中で提唱した4つの人事機能(ビジネス・パートナー、チェンジ・エージェント、人材管理エキスパート、従業員チャンピオン)を基に人事部の機能を3つのグループと1つの役割に整理しています。
1) ビジネスのアドバイザー役として戦略人事を行う人事ジェネラリストHRビジネス・パートナー(HRBP)。
2) 採用や人材開発などの人事各領域の専門機能を担うCoE(Center of Expertise)
3) 人事の日常業務やデータ管理を行う(事務作業・オペレーショナル)HRシェアードサービス。
4) スーパー人事ジェネラリストのCHRO(チーフ・ヒューマン・オフィサー=最高人事責任者)。
確かに、人事ジェネラリストには、CHROやHRBPというかっこよい名前が付けられ、経営者や事業部門長からもより戦略的な動きを期待されるようになりました。
しかし、多くの企業のCHROやHRBPの仕事の中身は、昔からさほど変化しておらず、今でも事務処理と労務管理で忙殺されている現実があることを、人事の仲間から良く聞きます。