昨年は「逆転現象」が多かったが、この流れは、山梨学院大学の箱根駅伝のシード権獲得など新年になっても続いている。「インバウンド消費」や「妖怪ウォッチ」も引き続き15年の消費を下支えしよう。GDP統計の悪さなどが足元の景況感悪化要因で、それにより成田山の初詣参拝者増加などの現象もみられる。こうした悲観的な見方も、12月分景気動向指数や10~12月期GDPなどが発表される2月頃には逆転するとみられる。
成田山初詣数増は景気の不透明感を示唆
日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(14年12月調査)では、「1年前と比べて、今の景気はどう変わりましたか」という質問に「悪くなった」という回答が38.8%で、前回9月調査の31.5%から増えた。
「そのようにお考えになるのは、主にどのようなことからですか」という理由で、9月調査から増加したのは「マスコミ報道を通じて」「景気関連指標、経済統計をみて」「商店街、繁華街などの混み具合をみて」で、各々+2.9ポイント、+1.9ポイント、+2.6ポイントだった。逆に「勤め先や自分の店の経営状況から」「自分や家族の収入の状況から」「その他」という回答割合のウエイトは減った。各々▲0.7ポイント、▲2.7ポイント、▲0.7ポイントの減少だった。
昨年秋は7~9月期のGDPが第一次速報値も、第二次速報値もエコノミストの予想を下回り、消費税率の引き上げも先延ばしされたことから、「景気は悪いのではないか」と感じた人々が多かったのだろう。GDPショックが人々のマインドにマイナスの影響をもたらしたと思われる。
その影響は正月の成田山新勝寺の初詣参拝者数に表れた。全国の神社・仏閣の三が日の参拝者数の上位をみると、1位は「明治神宮」で、15年は314万人を記録した。14年は316万人だったので2万人減少した。2位には「成田山新勝寺」が308万人(昨年は305万人)と続き、3位は「川崎大師」の306万人(昨年は302万人)である。
写真:(c)大本山成田山新勝寺
今年の正月三が日の「成田山新勝寺」の初詣参拝者は前年より3万人増え、96年の315万人以来の多さとなった。1位の明治神宮については、渋谷や原宿に近く、正月の買い物やレジャーのついでに参拝できることもあって、景気との連動性をみるのには、初詣に行くという目的意識を持った参拝者が集まる成田山新勝寺のデータの方が適していると思われる。
バブル崩壊により91年から96年までの5年間、成田山新勝寺の初詣参拝者は概ね増加傾向だった。「苦しい時の神頼み」をした人が多かったのだろう。その後、02年の1月を谷とする「いざなみ景気」の拡張局面では「何とかなった」という安心感から概ね300万人を下回る状況が続くが、07年の姉歯事件、08年のリーマンショックが景気を直撃した時期を境に、再び参拝客は増えて300万人近くになった。