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【特集・クラウドと、どう向き合うか(1)】

従来システムとの混在環境で最適化を狙う
――NECのクラウド戦略

松岡 功 [ITジャーナリスト]
【第78回】 2015年2月9日
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クラウド基盤サービスを
グローバル展開へ

 では今後、NECはクラウド事業をどのように拡大し、激戦市場をどう勝ち抜こうとしているのか。まず拡大戦略について石井氏は次のように語った。

 「NEC Cloud IaaSをベースに、クラウド基盤サービスの範ちゅうとして、ソフトウェア開発・実行基盤となるPaaS(Platform as a Service)にも近いうちに本格的に進出する。また、その上で展開するアプリケーションサービスとなるSaaS(Software as a Service)についても、アプリケーションベンダーとのパートナーシップを図りながら、当社のクラウド基盤を広く活用してもらえるようにしていきたい。さらに、グローバル展開については全社的な注力領域でもあるので、さまざまな事業展開とともにこれまで培ってきたクラウド基盤サービスを海外でも提供できるようにしていきたいと考えている」

 PaaSについては具体的な内容を明らかにしなかったが、さまざまな取り組みを考えているようだ。NEC Cloud IaaSが「OpenStack」などのオープンソースソフトウェア(OSS)を採用していることから、同じくOSSベースのPaaSを採用することは想定できるが、グローバルで競争力のあるクラウドベンダーのPaaSを担ぐ可能性もありそうだ。

 そして、これから一層激戦区となりそうなクラウド市場をどう勝ち抜こうとしているのか。

 「一言でいえば、NECの総合力で勝ち抜いていく。総合力とは、NECがこれまでICT事業で培ってきたシステムインテグレーション(SI)力、プラットフォーム提供力、技術力、運用力を合わせたものだ。NEC Cloud IaaSはこれらを結集したサービスといえる。さらにハイブリッド利用がこれから増えていけば、これら個々の力がますます求められるようになると考えている。今後も社会インフラを支える安心・安全なクラウドを提供できるように、さらに精進していきたい」(石井氏)

 NECは2013年度で240億円だったクラウド事業の売上高を、2017年度には1200億円規模にする計画だ。もっともNEC Cloud IaaSの提供を本格的に開始したのが2014年度からなので、成長軌道に乗せるのはまさにこれからだ。さしずめ、PaaSをどのように打ち出し、グローバル展開をどう進めるのかが、NECのクラウド事業が生き残っていく試金石となりそうだ。

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松岡 功
[ITジャーナリスト]

まつおか・いさお ITジャーナリストとして複数のメディアにコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などで記者およびIT系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。

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