フクシマ 私の仕事は、クライアントの適所に適材を探してくることでしたから、転職を考えている求職者の方からご相談があっても、お手伝いすることができません。仕事を探している方のお手伝いをすることと、クライアントにとってベストな人材を探すことは違いますから。90年代半ばはいろいろな方からお仕事に関する相談が来ましたが、そういった理由から、お仕事を探してくることはできませんと明確に言ってきました。

 重要なのは、クライアントの「こういうことができる人がほしい」に、候補者の「こういうことができます」が合致していること。お互いに嘘をつかず、候補者には仕事のポジションやチャレンジすることを十分理解してもらい、できること・できないことを正直に、明確にすることに努めてきました。

 私は、以前から適材適所だけではなく“適所適材”も必要だと提言しています。適材適所とは、適材である優秀な人材を雇って、育成を目的として適所に配置させるという考え方ですが、“適所適材”は、そのポジションのミッションにぴったりの要件を持った人材を社内外問わずに登用するという考え方。日本でも、今ようやくこの流れが起こり始めたと思っています。

鍵を握るのは、雇用の流動化

南 私も採用領域で仕事をしていますが、私個人、また会社としての想いは大変シンプルです。企業や人材紹介会社の求人ニーズと、求職者の求職ニーズを可視化すれば効率的なマッチングが可能になる。そうした市場ができれば、採用に関わる全てのプレーヤーがハッピーになると思っています。

フクシマ たしかに、日本以外の世界各国では、求職者のデータは当たり前のように可視化されていて、企業や人材紹介会社はそれを登録すれば、入手できますからね。

南 私はこの、日本の採用市場の可視化を進めるにあたって、企業が受け身ではなく、主体的に採用活動ができるようになる、ダイレクトリクルーティングを推奨してきました。一方で、起業に際して、250社以上の人材紹介会社を訪問して話を伺いました。

 その時感じたのは、人材紹介業は企業の経営戦略に合ったベストな人材を紹介することで企業の成長を支えるという素晴らしい商売であるということでした。それなら、主体的に「ダイレクトリクルーティング(直接採用)」活動を展開したい企業と、企業のために付加価値の高いコンサルティングを提供する人材紹介会社の2者が簡単に求職者を探し出せるデータベースがあれば、求職者も含めた3者の活動がそれぞれ効率的になるのではないか。これが、私が起業したきっかけの一つです。ただ、完全に私の力不足なのですが、未来のビジョンをうまく伝えることができず、人材業界の方々に大きな誤解を与えてしまい、ご迷惑をお掛けしまっているところもあります。