50歳前後のセミリタイアは危険!?
最前線に立たないと人は劣化する
ヘッドハンティングされる「できる人」は何が違うのか。セミナーなどでそんな質問を受けることがあります。もちろんその時々でどんなスキルや経歴の持ち主が求められるのかは変化していきますが、ヘッドハンティングの対象になるような人にはいくつかの共通点があると私は感じています。
第1の共通点は「仕事を人生のど真ん中に置いている人」です。一所懸命仕事をしている人はそれだけ人格が磨かれますし、苦労もするので人としての厚みが生まれ、人間的な魅力があります。
逆に40代半ばや50歳くらいで選択定年制を使って退職し、知り合いの会社の顧問になったり、最前線には立たないコンサルタントのような仕事をしたりする人がいます。つまり、第一線から引いたような立ち位置で仕事をする人がいますが、多くの場合こうした人はだんだん先細りになっていきます。
なぜ先細りになるのかというと、仕事を人生の真ん中に置いて取り組まないと、どんどんビジネスパーソンとして劣化していき、現状維持すら難しいからです。割増退職金をいっぱいもらい、あとの職業人生はこれまでの蓄積で流していけばよいと安易に考えている人はきわめて危険です。
2番目の共通点は、「好奇心の強さ」です。好奇心旺盛でいろいろなことに首を突っ込んでいく人は、自ずとさまざまなチャンスに恵まれるようになります。もしかすると、1人の人間に訪れるチャンスの数はそう変わらないとしても、好奇心の強さによってその出来事がチャンスであると気づけるかどうかが変わってくるのかもしれません。
キャリア論で「計画された偶然」(プランドハプンスタンス)といわれるように、好奇心の幅広さによって行動したなかで発生した偶然の出来事から、実際に新たな人生を切り開いていった人は少なくありません。優秀な経営者の多くが多趣味でいろんな分野に興味のエネルギーを発揮するのも、このことと無関係ではないと思います。