「こんな仕事を、一生続けるんだろうか……」

 と不安でいっぱいになりました。

 しかし私には、特に自分の「やりたい仕事」も「将来の夢」もありませんでしたし、真面目なサラリーマン家庭で生まれ育ったこともあり、一度就職した会社をすぐに辞めるという選択肢は思い浮かびませんでした。

 目の前の営業という仕事をやる以外にないのです。

 でも、やっぱり営業なんてやりたくない……。

 そんなふうに悩んでいたときに、営業をしていない唯一の人物を見つけました。支社長です。当時の私は、「そうか。出世すれば、営業をやらなくて済むのか」と思い至り、そこから営業活動が出世するためのゲームに変わりました。

 当時の会社でいう支社長クラスになれば、自分が外回りに行くことはなく、部下のマネジメントをするだけでいいと思考を変えたのです。

 そんな不純な動機ではありますが、営業という仕事を頑張ってみようと思うようになりました。

営業が嫌いでも、結果は出せる!

 私は飛行機のなかでキャビンアテンダントの方に頼み事をしたいのに、「すみません」と声をかけることができずに我慢してしまうほど、人見知りの激しい性格です。

 さらに、あまのじゃくで面倒くさがり屋の私ですから、営業においても、自分がやりたくないことをやらずに済むにはどうしたらいいのかと、そんなことばかりを考えながら取り組んできました。

 そんな私にとって、知らない人と商談を繰り返す営業という仕事は、この上ない苦痛です。