駒澤大学と立正大学が共に約150億円前後の運用損失を出した(立正大はまだ含み損段階)という報道があった。
ダイヤモンド・オンラインの筆者の連載でも取り上げたが、金融機関から見て学校法人は狙い目の上客であり、両校のほかにも運用に問題を抱えている学校がかなりの数あるだろう。
拙稿では、各校は運用の実態把握を急ぎ、次に資金運用に関する規約を作るべきだと書いた。以下、たとえば学校法人が、運用の規約を作る場合に、どのあたりがポイントになるかを書いてみたい。
まず、資産配分(たとえば国内株式への配分比率)のウエートを上下の範囲も含めて、明確に定義する。長期的な資金運用であれば、年金基金などと同様に、株式などのリスクを取ってもいいだろう。資産配分計画策定時には、運用に関する最大の想定損失額について議論しておくことが重要だ。
次に、運用対象について限定的に列挙する。預金、債券、株式、投資信託くらいが主な対象だろうが、特に債券に関しては発行主体、格付け、加えて債券の種類を限定する。
単にAA(ダブル・エー)格以上の債券、などとすると、発行主体がAA格以上の債券をベースに仕組み債を作ったようなものが、まぎれ込む可能性がある。
仕組み債やスワップなどのかたちでデリバティブを組み込んだ金融商品は、運用規約ではっきり除外しておくほうがいい。原理的にも、売り手側が計算間違いでもしない限り、この種のデリバティブ商品が有利な投資対象になることはない。
理論価格を計算する際に、売り手側は前提条件に余裕を持たせるし、さらに売り手側の利益が価格などの条件に隠れている。