『ダイヤモンドQ』の「心臓病に強い病院ランキング」で3位となった千葉西総合病院。そこには、宇宙船の指令室を思わせる「カテーテルスタジオ」があり、三角和雄院長自ら八面六臂の活躍で、医療チームの陣頭指揮を執っている。その最新設備によるカテーテル手術の現場を『ダイヤモンドQ』編集部がレポートする。
「心臓病になったら、ぜひ当院に来てください。可能な限り短期入院、低コストで治療します」。心臓病治療でトップクラスを誇る千葉西総合病院の三角和雄院長は、宇宙船内のような「カテーテルスタジオ」で複数のモニター画面をにらみながら自信をのぞかせる。スタジオ後方中央の数段高い司令塔が「キャプテン三角」の指定席。ここから各スタジオのスタッフへさまざまな指示を出す。
カテーテルスタジオは三角院長が自ら設計した命の再生工場だ。血管再生用機器を備える1部屋を除く5部屋がフル稼働し、循環器内科の医師23人らで構成する6組の常勝軍団「チームデルタ(Team Delta)」の精鋭たちと共に患者を次から次へと治療していく。患者1人当たりの手術時間は平均30分。多い日は診断カテーテルを含めて1日70件こなし、カテーテル手術は心臓だけで年間約3000件に上る。
昼間の喧騒が静まり返る午後6時。スタジオ1~4と6では心臓のカテーテル手術が粛々と続いている。各スタジオのチームは医師や看護師、臨床工学技士ら8人。全員がインカムマイクで三角院長の指示を共有しながらモニター画面にも目を向ける。三角院長が司令塔のモニター画面に書き込んだ指示も、そのまま各スタジオのモニターに映し出される。
冠動脈硬化症は放置しておくと心筋梗塞を招く。血管内に薬剤が付着し再狭窄を防ぐ「薬剤溶出ステント(金網状の筒)」や「薬剤溶出バルーン」(昨年1月から保険適用)もチームデルタの得意技の一つ。
高度なカテーテルレーザー治療も行うが、指先の感覚を頼りに操るカテーテル手術は経験がものをいう。また、硬く石灰化した冠動脈硬化症の場合は血管内を超小型高速回転ドリル「ロータブレーター」で突き進み、患部にステントを留置する。至難の業だが、三角院長は「うちのチームは20勝投手が15人もいるようなものです」とアシストする弟子たちの腕に信頼を寄せる。