脳卒中に強い病院はどこか。患者数、手術数といった治療実績だけでなく、専門医数や医療体制などのデータも参考に、ダイヤモンドQ編集部が「脳卒中に強い病院ランキング」を掲載した。

順位 病院名 住所 得点合計(100点満点) 患者数 手術数 専門医数/病床数 医療体制
1 埼玉医科大学国際医療センター 埼玉県 89.7 15.6 17.5 1.6 5.0
2 国立循環器病研究センター 大阪府 86.5 17.5 11.8 2.2 5.0
3 脳神経センター大田記念病院 広島県 83.7 11.8 10.7 3.6 7.5

 脳卒中部門で1位となったのは、「埼玉医科大学国際医療センター」だ。

 同病院で脳卒中の治療に当たるのが、脳卒中センター。脳卒中センターは、脳卒中内科、脳卒中外科、脳血管内治療科の3部門で構成。「脳神経外科、脳血管内治療科、神経内科、リハビリテーション科の専門医が救急専門医とも協力し、チームを組んで治療に対応している」(棚橋紀夫教授・院長代理)。

埼玉医科大学国際医療センターは、患者ごとに医療チームが組まれ、チーム力で対応する

 治療で常に意識するのは、「患者中心主義」と「チーム力」。同病院では、患者ごとに医療チームが組まれる。チームは目的や状況に応じ、アメーバのごとく自由自在に変更し組織される。そして、個々の患者に対し、各診療科の医師やスタッフらが参加してカンファレンス(会合)を行い、自由闊達に治療方針などを話し合う。

 院内には脳卒中センターのほか、心臓病センター、包括的がんセンターがあり、「大学病院だが、専門病院の集合体。三つの専門病院が一つの病院として機能することを意識している」(小山勇病院長)。

 つまり、特定の疾患治療に特化した専門病院と、広範囲の病気に対応できる総合病院のいいとこ取りを目指している。そもそも脳卒中や心臓病、がんの患者は高齢者が多く、糖尿病などのさまざまな合併症を持っていることが多い。「どんなに治療が困難な患者が来てもベストなチームを組んで対応したい」(小山院長)。

 同病院がこれだけ患者中心主義とチーム力を意識するのは、質の高いチーム医療を提供することで有名な米国の「メイヨー・クリニック」を手本としているからだ。

 同病院には、「日本のメイヨーを目指す会」という勉強会があり、年に数回、良質なサービスで有名なホテルグループのザ・リッツ・カールトンや東京ディズニーリゾート、短時間で車内をピカピカにする新幹線の清掃サービス会社など他業種から講師を呼び、チーム力を磨こうというユニークな活動もしている。スタッフの意識と質の向上のため、世界水準の医療施設評価機構であるJCIの取得も目指しており、取得すれば、大学病院では初となる。