「この人は、こういう人だ」と丸ごと認めれば、
すべての人間関係はうまくいく

 人間関係をオールマイティーに解決する方法が、「2つ」あります。

【1】自分のまわりの人をすべて「人格者」に変えてしまうこと

「人格者」とは、どんなことに対しても、笑顔を絶やさず、温かさを持って接することができる人です。
 ただし、この方法だと、ひとりの人格を変えるために、説得につぐ説得を重ねる必要があります。自分のまわりの人をすべて説得しようとすると、時間がかかりすぎてしまうため、現実的ではありません。

【2】自分が「人格者」になってしまうこと

 他人を変えるのは、大変なことです。なかなか変わってくれませんし、仮に変わったとしても、「こちらの思うようには、変わってくれない」ものです。
 ですが、「私」が変わることは簡単です。変えるべき相手も「自分ひとり」ですから、自分が変わりたいように変わればいい。
 イライラしたくない、腹を立てたくない、人と争いごとをしたくない、人から何かを言われたときに気にするような自分ではありたくない、と思うのであれば、「自分が希望する自分」をつくり上げればいいわけです。

 自分を変えることでいちばん得をするのは「自分」です。なぜなら、その人格でいることが自分にとって心地よいのですから。
 損得勘定で考えてみても、もっともラクで、楽しく、簡単に人間関係の悩みを解決できる方法は、
「自分を変えること」=「自分が人格者になること」
です。

 自分のまわりにいる人を、「自分の思いどおりに、気に入るように変えたい」と思うから、人間関係はうまくいかなくなります。
 すべての人間関係をうまくいかせるには、「その人は、その人である」という、そのことをまるごと受け入れることです。

 目の前の人が、自分の考え、生き方、価値観とは違うことを認める。説得しようとか、理解してもらおうとか、思わないほうがいいようです。

 ある女性が、私に、こんなことを言いました。

「結婚して15年たつのですが、夫を変えるには、まず、自分を変えることなのですね」

 たしかに、自分が変わるほうが、夫婦関係(人間関係)はスムーズにいきます。ですがそれは、相手を変えるためではありません。

 この女性は勘違いをしているようです。夫を変える必要などないのです。夫を変えるのではなく、「この人は、こういう人だ」とまるごと認めてしまえばいい。そのほうが、自分にとってラクだと思います。

「どうしてうちの妻は口ごたえばかりするのだろう」と思い、口ごたえをしないように説得にかかる夫がいます。説得するのではなく、「この人はきっと、言いたいことがたくさんあるのだろう。だから自分はただ黙って聞いてみよう」と思って聞きはじめると、妻は夫が言いたいことを聞いてくれるので、口ごたえをしなくなるのではないでしょうか。