今やデジタルツールを駆使すれば、いつでもどこでも働ける時代になった。だが、業務が格段に効率化された影響で、24時間仕事に追われ、疲弊するビジネスパーソンも増えている。そんな時代背景もあってか、アナログ的なビジネスツールやアナログ的な働き方が、再び注目を集め始めたという。心に余裕を持って、仕事でより高い成果を目指す「ゆとりビジネスマン」になるために、どんな「アナログ仕事術」を心がければいいのか。(取材・文/プレスラボ・勝瀬昌彦)

効率化されても仕事が増える!?
デジタル化に疲弊する社員たち

デジタルツールで仕事は効率化されたけど――。疲弊するビジネスマンは少なくない
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「昔はどんな書類も手書きや判子だったから、給与明細書をつくるたびに徹夜していたんです」

 創業50年、200人弱の従業員を抱える部品メーカーの人事部に話を聞いたところ、当時の苦労を思い返すようにそう答えた。営業部門に1人1台パソコンが支給されるようになったのは、つい10年前のこと。それまではほとんどの書類を手書きで記入しており、本来の業務ではないその時間が一番長かったという。

 時は経ち、現在この会社の営業部門にはパソコンはもちろんのこと、スマートフォンとタブレットも1人1台貸与され、会社には上司の捺印をもらうためだけに帰社する社員が増えた。あらゆる書類をクラウド上で管理するようになった結果、現在の営業スタイルが確立されていったという。営業にかけられる時間が増えたぶん業績も伸びたそうだが、一方で弊害も生まれていた。

「24時間、仕事に追われている感覚があります。会社用のスマホから逃げ出せなくなっていますね……」

 デジタルツールによって仕事が効率化されたはずが、その利便性が裏目に出て、公私の境界線を見失ってしまった社員も多いという。

 IT化が進み、スマートフォンやクラウドなどのデジタルツールを駆使すれば、いつでもどこでも働ける時代になった。2~3年前には「ノマドワーク」という言葉も流行し、現在も都心のカフェではノートパソコン1台で仕事をしている人を頻繁に見かける。しかしIT化によって便利になった半面、1日中仕事に追われ、疲弊する人が増えているという。