半導体製造の世界では素材であるウェーハに大口径のものを利用するようになってきていますが、大口径化することにはどこもだいたい躊躇するんです。でも、お客さまからの声が大きいこともあって、「それじゃあ、やろう」ということになり、山梨県韮崎市に300ミリウェーハを扱うことのできるプロセス技術センターを半導体メーカーより先につくったんです。装置メーカーとしても弊社が世界初でした。

 当時多くの半導体メーカーが弊社のプロセス技術センターで、300ミリウェーハ対応装置のプロセス技術を開発していました。そこには私たちの装置だけじゃなくて、他社の装置を入れたり、ファイアーウォールを敷いたりしたので結構大きな投資でした。

山梨県韮崎市のプロセス技術センター

 やはり、他社がやっていないことをやらないと、うまくいかないんじゃないかなと思いますよ。ある技術の将来性を考えた場合に、「みんなどうなんだろう」と横並びでやっても先に進まないから、やるときは大胆にやっていかないと。

松江 東さんが最後は「いい、やってみろ」って言える。私はそこがもっとも大きなポイントだと思います。海のものとも山のものともつかない技術に対して、役員が満場一致でリスクを取れるなんて難しいですよね。

 運良くそうなることもありますけど、基本的にそれは難しいですね。技術者の話をよく聞いて最終的にはトップ、あるいは技術担当のトップが判断し、とにかく辛抱強く何年間かやる。そういうことじゃないですかね。

「利益」=「お客さまから評価」
だから利益を強く意識する

松江 ちょうど昨年50周年を機に、基本理念と経営理念の見直しをされたようですね。一般的に「理念」は変わらない性格が強いですが、それを時代に合わせて編成し直されました。それはどのような意識からだったのでしょうか。

 今回、米国アプライド マテリアルズとの経営統合という相当大胆なことを発表しましたが、今の半導体産業の殻を打ち破っていかないと大変な状況になるという危機意識はありました。その意識をそのまま経営理念に出すわけにはいかないですが、ベースは意識しています。経営理念も固定したままだと考えなくなりますから、見直していくことは必要かなと。50年、100年のレンジの話と、10年、20年のレンジ、あと数年のレンジではもちろん、違うと思いますが、常にレビューはしていかないと意識が下がってしまって駄目ですね。

松江 経営理念の最初に「利益について」と出てくるのはとても興味深いと思います。他の企業では見られない独自性を感じて目を引きました。

 資本主義が本当に大きく成長をした基本は利益です。生み出した付加価値が他人から評価され、その対価を得ることが利益になるわけです。お客さまに認知される、お客さまが必要とするものを探し出す、それに沿うものを構築して実現していく。それが全部揃わないと利益にならない。