来年以降に全面自由化を控える電力・ガス業界。LPガスで国内トップのシェア、都市ガスでは関東圏で3位の日本瓦斯の和田眞治社長に、電力・ガス改革を見据えた事業戦略を聞いた。

──独自のクラウドシステムの導入で、都市ガス大手とは全く違う手法で物流の効率化や営業現場での競争力を高めてきました。全面自由化に当たり、激化する競争をどう勝ち抜いていきますか。

日本瓦斯社長 和田眞治 <br />電力・ガスの自由化見据え <br />クラウドで競争力強化Photo by Maya Wakita

 スマートフォンでユーザーの家のメーターのQRコードを読み込むと、クラウドのデータセンターに飛んで、検針、伝票処理、集計などがリアルタイムにできる──。当社ではこのクラウドシステムを独自で構築してきました。

 例えば、ユーザーから「給湯器が故障した」と報告されたら、スマートフォンで顧客情報を更新するだけでリアルタイムにクラウド上で情報が共有されます。機器対応部隊にも通知がいくので、5分もたたずにお客さまへの対応ができるようになっているわけです。

 そうすることで、これまで1個20万円近く掛かっていたハンディターミナル(データ収集端末)も不要になりました。ユーザーは今110万件と伸びていますが、クラウドのおかげで固定費は増えず、結果的に競争が激しい関東でも、ガスの平均販売価格は他社比で約2割安く提供できています。