最近数カ月、米国のエネルギー市場では、原油安と天然ガス高が進んできた。2014年も、この傾向が続くことになりそうだ。
米国の天然ガス市況は過去の水準から見ると低迷の域にとどまっている。
指標とされるヘンリー・ハブの天然ガス価格の推移を見ると、08年半ばに100万BTU当たり13ドルまで上昇したが、リーマンショックを受けて一時3ドルを下回った。10年初めには米国の景気が回復するのに伴って6ドル台まで回復していたが、その後は、シェールガスの増産による需給緩和を背景に価格が抑制され、12年4月には一時2ドル割れとなった。
その後、天然ガスの開発が見送られたり、天然ガスを用いた発電が増加したりする中で、天然ガス市況はやや回復している。市況改善は途上であり、今後も天然ガス価格は上昇しそうだ。
一方、原油価格は高止まりが続いている。米国産原油の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格は、13年秋口以降、下落気味に推移しているものの、1バレル当たり90ドル超の水準を維持している。
天然ガスとは異なり、資源開発を進めても採算が取れる水準である。背景には、地政学的要因などから国際的に原油価格が高止まりしていることがある。
リビアでの政府への抗議活動や、イランに対する経済制裁により、両国からの原油供給が滞っている。また、シリア内戦の和平への動きも難航している。