定置網漁業でその日水揚げされたピチピチの魚をおまかせで詰め合わせた「朝どれ鮮魚パック」

「『美味しいと言ってもらえること』が漁師さんたちにとっては何よりもうれしく、がんばろうという原動力になるんです」と伏黒さん。そして消費者と接することで「いい魚をお客さんに届けるまで責任を持つ意識」も高まり、市場に出す魚もこれまで以上に扱いや鮮度管理に気をつけるようになったという。

 漁協では、定置網でその日、水揚げされたおすすめの鮮魚の詰め合わせを飲食店などに出荷する「朝獲れ鮮魚パック」の販売もスタートした。基本的には漁師と取引先の直でのやり取りとなっているが、こちらも漁師たちの技術向上に一役かっているらしい。

 発送先のなかには注文の多い店主もいる。「電話がかかってきて、魚の氷の打ち方や、締め方がもっと、どうにかなんねえかとか、いろいろ言われてカチンときた」けれど、やっぱりここでも漁師の“負けず嫌い“に火がついた。「じゃあやってやろうじゃねえか!」。

「それまでお茶したり一服していた休憩時間に、船上でスマホを見ていろいろな締め方をチェックしたりしながら研究しているそうです」と伏黒さん。「なんだかうちの船はえらい忙しくなった」とボヤきつつも、「伏黒くん、すげえ締め方見つけたよ!」と嬉しそうに語るようになった結果、取引も増え、取引価格も向上。

「動けばなにかの答えが出る。とにかく一歩踏み出せばなにかが変わるんですね。
浜以外の人々と触れ合うことでヒントが生まれ、応援してもらうきっかけができると思うんです」と伏黒さん。

 港でじっと待っていても何も変わらない。だから伏黒さんたち職員も行動した。

「ハマを出て町を目指せ!」

町を目指して地元FM局、大学とコラボ
独自商品「お魚まな板シート」は大人気に

漁協の「キッチンカー」。平塚の魚をのせて、商店街からイベントまで神出鬼没!

 漁協では町で開催されるイベントに、積極的に参加。地元の魚を楽しく食べてもらおうと、開発した漁協オリジナル料理を持参する。しかも実演販売のために、導入したキッチンカーで出動だ。

 キッチンカーにたまたまついていたイカ焼き器が「これは使える」という話から誕生した、カタクチイワシなどの小魚と米粉を丸ごとプレスした「お魚せんべい」はライブ感もウケて子どもたちに大人気。

 最近では、漁獲量の多いサバを使った名物料理を作ろうと地元FM局「湘南ナパサ」とコラボして、そぼろ状にしたサバに調味料を加えたものを、麺にのせた「サバとろめん」を開発。職員とFM局のスタッフが、漁協の会議室でサバを「手がしびれるほど」ミンチ状にして、ああでもないこうでもないと開発を重ねて誕生したレシピだ。

 イベント出店時には当然番組でオンエア、というわけで、だったら「中継できたら便利だ」と車に音響設備も整え、気づけばキッチンカーは「ラジオカー」というハイスペックに。最近ではサバとろめんに次いで登場した「サバの竜田揚げ」も「いま揚がりましたよ~」と中継付きで販売だ。