取材した製造業のある会社の営業部門では、管理職の役職定年を進めて中堅社員が昇進。職場内の平均年齢も大幅に若返る人事異動が行われました。こうした世代交代は職場のフレッシュ感を醸成すると思われますが、実のところ正反対の結果を招いてしまいました。いったいなぜでしょうか。

 その職場に勤務する若手社員Sさん(27歳)に聞いてみました。すると、

「世代交代が行われて職場内の空気が悪くなりました」

 との返事が。その大きな原因は、世代交代で部長になった人物の力量不足だったそうです。これまでであれば、どんなトラブルが起きても「任せておきなさい」と言える経験豊富な部長がいました。ところが、Sさんが新部長に取引先へと同行してもらうと、トラブルが解消するどころか増幅するだけ。

「あの部長はこなくていいかから」

 と、取引先から出入り禁止を言い渡される始末。新部長は、部下の世代交代までは予測していなかったようで、

「部長としての役割が果たせるには2年くらいかかるかも」

 と断言しています。ところが、部長らしく振る舞いたい気持ちもあるのでしょう。キツく若手社員を叱るときもあるので、職場の雰囲気が悪くなる一方。ついには、

「前の部長に戻ってきてほしい」

 と世代交代を逆戻りさせる要望を人事部に出す社員が出てきました。このようにバトンを渡す人、渡される人に準備ができていない状態で性急に世代交代を進めると、職場で弊害が出る可能性があります。会社的にはスピード感を持って人事異動を行うタイミングもあるでしょうが、組織の成熟度を見ながら時間をかけて世代交代を進めるのが正しいときもある…と覚えておきたいものです。