北名古屋市、と聞いて「あの辺りか」とピンとくるのは、東海三県の人だけだろう。人口226万の名古屋市の北に文字通り隣接。西春町と師勝町が合併して2006年に誕生した、人口8万人のベッドタウンだ。
農地と工業団地と住宅地がパッチワークのような景観をなす、大都市圏のどこにでもある無個性な郊外。その一般府県道沿いに、いささか風変わりなショッピングモールがある。名鉄犬山線の各駅停車しか止まらない駅から徒歩20分ほど、大規模商業施設も付近にはない不便な立地でありながら、毎日のタイムセールでは常に行列、即完売という人気を集める。
「食のアウトレットモール北名古屋」は、桃を主軸にスイーツ全般を取り扱う「桃の館」の高井社長の呼びかけで、市内の食関係のメーカー7社が合同会社を立ち上げ、2013年7月にオープンした施設。製造過程でどうしても割れが出てしまうゴーフレットやおかき、サイズの不均一なシュークリームといったワケあり商品を毎日、割安価格でメーカーが直販している。
運転中にたまたま目にして、という来店の期待できないロケーションでありながら、岐阜県南部や三重県北部から高速道路で来るリピーターも珍しくないという。成功の秘訣はどこにあるのか、施設を訪ねて話を聞いた。