プリペイドカード化で
利益を得るのは一体誰か?

大阪・新今宮駅前。正面に見えるのが作業服の専門店
Photo by Y.M.

 3月24日、生活保護問題対策会議とともに、三井住友カードに対して公開質問状を提出した社会運動家の生田武志氏(反貧困ネットワーク大阪)は、質問状の中で、

「本モデル事業が『貧困ビジネス』になりはしないかと危惧いたします。『貧困ビジネス』とは、生活保護受給者の囲い込み・支援費徴収や消費者金融・ヤミ金融など、貧困層をターゲットにした反社会的な営利行為のことです。なかには暴力団など反社会的勢力が関わるものもあると言われ、近年、日本社会に貧困が広がるなか社会問題となりました」

 と懸念を示し、

「モデル事業後の生活保護分野に対する事業受託の計画内容・公的分野への参入について具体的に教えてください」

「全国自治体の生活保護分野へのプリペイドカードの導入によって貴社が得ることのできる預託金・決済手数料・入金手数料等の試算総額を具体的に教えてください」

 を含む10項目の質問を行っている。特に後者、預託金・決済手数料・入金手数料などカード会社の得る利得については、弁護士たちも大阪市に対して情報公開請求を行っているが、「なぜ、その会社なのか」「その会社は、どのような利得を得るのか」など根幹に関わる部分が黒塗りとなっていた。

 最後にもう一点、導入されるプリペイドカードは、磁気ストライプカードであることを指摘しておきたい。スキミングなどのリスクが広く知られたため、近年、磁気ストライプカードはICカードに置き換えられる傾向にある。磁気ストライプカードには、「導入時の初期コストが抑えやすい」というメリットが確かにある。しかし、「なぜ、今?」と私は思う。かつて電機メーカーにいた私は、

「話題になって売れそうな新製品に、社内政治により残っている部品を押し付け、必要ない機能を無理やり搭載」

 という噂話を何回も耳にした。富士通研究所の一角に勤務して富士通の社内食堂の弁当を食べていた時期もある者の一人として、今回のプリペイドカード導入の真の理由が、

「磁気ストライプカードと周辺機器部隊の生き残りをかけて」

 という社内事情とは無関係であることを、強く願いたい。

 そもそも、誰にとっても多大なメリットのある事業なのなら、人数の面でみても少数、強制されたら「No」が言いにくい生活保護利用者ではなく、老齢年金のように受給者が極めて多い制度から導入すべきだろう。なぜ、生活保護からなのか。その意味を、じっくり考えるべきだと思う。

 次回は、2015年2月に米国・サンノゼで行った、生活保護基準についての学会発表について報告する。海外の人々にとって、日本の生活保護制度や生活保護基準は、どのようなものに見えているだろうか?