日産自動車が米国で気炎を上げている。好調なシェア拡大の背景には安売り攻勢が見え隠れするが、一方で利益率も昨年度の厳しい状況から改善しつつある。その理由に迫る。
今年1月7日、みずほ証券は日産自動車の目標株価を1160円から1100円に引き下げた。
理由は単純だ。主要市場の米国において、日産は10年間でシェアを5.8%(2004年)から8.4%(14年)まで拡大したものの、販売現場では安値攻勢が広がり、実質的な価格下落懸念が拭えないとみたからだ。
根拠はある。米調査会社オートデータがまとめた、販売時の値引き調査の数字がそれだ。
米国の車1台当たりの販売奨励金を見ると、14年10~12月期は3476ドルと前年同期比914ドルも増加。業界平均の2854ドルを優に超えるばかりか、販売奨励金が比較的高水準の米国メーカー、ゼネラルモーターズ(同3445ドル)やフォード・モーター(同3182ドル)をも上回り、業界トップの値引き額に躍り出たのだ。
せっかくの円安環境下で収益改善の好機であるにもかかわらず、みずほ証券はこれを懸念して業績予想を下方修正。14年10~12月期の営業利益率は4.0%と、上期実績の5.1%から低下すると予想を変更したわけだ。
米国での“たたき売り”とも取れる販売促進費用の急増は、株式市場でも嫌気された。翌8日の東京株式市場で日産株は下落、0.2%安の1003円で取引を終えた。トヨタ自動車やホンダなど競合の株価が上昇する中でのことだ。