今まで日産のゴーン改革について詳しく見てきた経太くんと有価さん。今回は、同業他社のトヨタと比較することで、より日産の事業について理解を深めます。効率がよいイメージがあるトヨタですが、決算書ではどのような数字が出ているのでしょうか。

アップル・ツー・アップルで
比較する

先生 さて、今度は同業他社を比較してみよう。ゴーンさんが来る前(平成11年度)の日産自動車を、同じ年のトヨタ自動車と比較することによって、さらにいろいろのことがわかると思うよ。

経太 うわあ、トヨタの売上高は7兆4,080億円、日産の3兆円と比べると2倍以上もある。

有価 それに営業利益も4,900億円だわ、すごい。

先生 さて、これだけ規模も業績もちがう両社を比較するには、少し工夫が必要だ。
大切なことは「意味ある比較ができるかどうか」なのだ。
英語ではそれを、アップル・ツー・アップルは比較ができるが、アップル・ツー・オレンジの比較はできないと表現する。

日産とトヨタはともに自動車会社だから、主製品は乗用車であり、製品の製造・販売体制も、世界展開をしている状況もよく似ている。ということで、比較の意味は十分ある。両社とも自動車以外の事業はあるが、本業に比べてはるかに小さいのでひとまず無視してよい。だから当面は、どうすれば規模の違いを補正できるかを考えればよい。