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ビッグデータで人事が変わる!

社員の定着度予測システムとは何か?

――先進企業の人材データ活用事例を紹介

北崎 茂 [PwCコンサルティング合同会社]
【第3回】 2015年4月14日
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 また、石油精製企業であるバレロ・エナジーでは、現場の多様な人材採用ニーズに堪え得る「人材のサプライチェーン」を、データ分析を活用することで構築している。

 同社ではまず、各組織の事業計画や実績データの分析を通じて、必要となる人員数やスペック、適切な採用ソース(エージェントなどの採用媒体を指す)を判断するというオペレーションを運営し、採用活動の最適化を実現している。こうした活動は、かつては1人を採用するのにかかっていたコストを、1万2000ドルから2300ドルにまで押し下げるという成果をもたらしている。

 人事におけるデータ分析を通じて採用にまつわるコスト削減を図った企業としては、食品サービス事業を手掛けるシスコの例も挙げられる。シスコでは販売員の顧客とのリレーションの深さと従業員満足度が高い関係性にあることを見極め、その推進施策を講じることにより、採用後の定着率を65%から85%に向上させた。結果として新規採用や新人教育にかかるコストをおよそ5000万ドル節減することに成功している。

採用時のデータ活用には
2つのトレンドがある

 これら特に有名な事例をあらためて紹介してきたが、こういった事例を俯瞰してみると、採用領域におけるデータ分析には、大きく2つのトレンドがあることが分かってくる。

 1つ目は、データ分析により自社で活躍できる優秀人材の特定精度を向上させ、確実に見極めるためのオペレーションを実現しようとしていることである。そして、2つ目は、数多(あまた)の候補者の中から限られた時間・労力で採用活動を行うための「効率化」を実現しようという点である。

 昨今、グローバル規模で状況が次々と変化していく中で、必要な質を備えた人材を必要な量、しかもタイムリーに補充していくためには、これまで以上に効率的・効果的な採用手法が求められる。データ分析の活用は、こうした目的を達成するために大きな可能性を秘めているといえる。

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北崎 茂
[PwCコンサルティング合同会社]

PwCコンサルティング合同会社 ディレクター。慶応義塾大学理工学部卒業。外資系IT会社を経て現職。人事コンサルティング領域に関して15年以上の経験を持つ。組織設計、中期人事戦略策定、人事制度設計から人事システム構築まで、組織/人事領域に関して広範なプロジェクト経験を有する。ピープルアナリティクスの領域においては、国内の第一人者として日系から外資系にいたるまで様々なプロジェクト導入・セミナー講演・寄稿を含め、国内でも有数の実績を誇る。現在は、人事部門構造改革(HR Transformation)、人事情報分析サービス(People Analytics)におけるPwCアジア地域の日本責任者に従事している。HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)理事。

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世間でも注目を集める「データアナリティクス」や「ビッグデータ」という概念が、人事の仕事のあり方を変えつつある。――多くの企業が顧客の志向性分析や、営業マンの行動分析、マーケティングの費用対効果分析、さらには不正防止予測など、営業・マーケティング・リスクマネジメントなど事業を取り巻くさまざまな領域での活用を急激に進めているが、実は、こうした動きは人事の領域においても例外ではない。

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