2050年をリアルに予測すれば
自社と自身の方向性が見えてくる
これからの組織を担うビジネスパーソンが意識しておかなくてはならないビジネステーマが大きく3つある。今号から3回でそれらを取り上げる。初回は「未来予測」を紹介しよう。
私がよく知る優れたビジネスパーソンや成長企業の多くは、未来予測や将来社会(世界・社会環境・市場・ライフスタイル……)を相当意識してビジネスに取り組んでいる。しかもその視点は短期ではない。「中長期」である。
一様に中長期の未来に思いを馳せ、来るべき状況をイメージアップしながら、数年後、来年、そして今を意識して事業展開を行っているのだ。その結果として他社に先んじて「需要の先取り」や「先行者利益の獲得」が叶うことになる。
「先々世の中はこう変化する」→「今の自社製品・サービスに対するニーズが将来このように変化するのではないか」→「市場が劇的に変化する!」→「市場が生まれる、市場がなくなる!」→「今できること、やるべきことは何か?」……概ねこうした思考である。
こうした未来志向を持つ人々が最近、一番注目しているのは「2050年」という年号。なぜ「2050年」なのか?
日本経団連が2012年4月に発表した「グローバルJAPAN」のサブタイトルは、そういえば「2050年シミュレーションと総合戦略」であった※。人口構成、世界の潮流、産業や社会の変化等の要因をじっくり見据えると、「なぜ2050年が注目されているのか」が見えてくる。ちなみに「2050年の人口ピラミッド」「国による日本の成長戦略」に大きなヒントが隠されている。ぜひ考えてみてほしい。
私は仕事柄、大型書店の店頭をほぼ毎日見るようにしているのだが、2012~13年にかけて、今回のテーマにピッタリの書籍が続々と刊行されている。数年前から少なくとも40~50年のスパンで先を見据えなくてはならないと考えていた私としては、まさに「我が意を得たり」だ。
来年のことすら誰も正確には予測し得ないことは十分承知している。ただ、何もないところから発想を張り巡らせることは容易ではない。皆様もきっと経験があるはずだ。
自社の方向性、新事業のヒント、人材育成の考え方――全てにおいて、いくつかの骨太の未来予測文献ほど、多くの示唆やヒントを与えてくれる情報源はそうそうない!と経験上断言しておく。
自社の置かれている事業環境は結局自分たちで予測するしかないのだが、これができる組織は強い。自社の未来を強く意識し、社員の皆様で大いに議論していただきたいと思う。ここで提言。人材育成や経営企画にかかわる方々は、研修プログラムにおいて「未来予測」「未来構想」を取り入れることを強くお勧めする。
次号では、ビジネスパーソン必須の2番目のテーマを取り上げる。お楽しみに。
※日本経済団体連合会「グローバルJAPAN-2050年 シミュレーションと総合戦略-」www.21ppi.org/pdf/thesis/120416.pdf