企業が生き残っていくためには、ときには大義を柔軟に解釈して、時代に合った再解釈をしていく必要がある。しかしながら、大義を柔軟に解釈しすぎて安きに流れ、何のために存在しているか、わからなくなってしまっている企業も多い。逆に大義に固執して成長機会を逸してしまう企業もある。

 大義の解釈と運用はとても難しい。だからこそ、たとえばA社は無理を言ってでも、“偉い方”に社外取締役になってもらい、一緒に“大義を問いなおす作業”をすべきであった。“偉い方”に求めたものが、その方の名声でなく、大義の構築に力を貸してもらいたいということであれば、一も二もなく引き受けてもらえたであろう。そして、大きな貢献をしてもらえたに違いない。

 低迷するA社の業績を見ながら、「彼らは絶好の変革のチャンスを逸した」、と私は思っている。しかし常に前向き(?)なA社の人たちは、きっと“偉い方”に社外取を頼んだことすらすっかり忘れていることだろう。まだ若い会社だから、大義の重要性に気づくにはもう少し時間が必要なのかもしれない。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。