
全国に約500組織ある農協の有価証券の含み損が合計6000億円超に膨らんでいることが分かった。日本の長期金利の上昇によって時価が下落した債券の“損切り”に追い込まれ、赤字に転落する農協が増え始めているのだ。ダイヤモンド編集部の独自調査で、茨城県には、債券運用の失敗によって有価証券の含み損が合計28億円超に膨らんでいる農協が四つあり、三つの農協が、財務が毀損しかねない“危険水域”にあることが判明した。長期連載『儲かる農業 JA・豪農・アグリビジネス大激変』内の特集『JAが大淘汰時代に突入!? 国債の「巨額損失リスク」農協ランキング』の本稿では、債券の売却損を計上することで、巨額損失に陥る可能性が高まっている茨城県の農協の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文、データ分析 小海敬義)
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有価証券の含み損が、半年間で43%増えて
48億円に膨らんだ“危険水域”の農協はどこか?
農林中央金庫は2024年度、金利上昇により時価が下落した債券の売却損を1兆円計上し1.8兆円の最終赤字に陥った(前年度は636億円の黒字)。この「債券爆弾」のリスクが、今度は、地域農協を襲っている。農林中金のケースをなぞるように、農協が保有する日本国債などの評価損が急拡大、赤字に転落するケースが増えているのだ。
農林中金と、全国に約500ある農協の有価証券の評価損額の推移を示すグラフなどは、『農林中金1.8兆円赤字に続き、危機に陥る農協は?債券の含み損が6000億円超に膨張して、内部留保が吹き飛ぶJA続出!【国債の「巨額損失リスク」農協ランキング・ワースト10】』を参照してほしい。
農協が保有する有価証券の8割超が、国債、地方債、社債だ。近年、日本の長期金利が上昇するにつれて債券の時価は下がり、農協の有価証券評価損額は24年度、6180億円まで膨らんだ(ダイヤモンド編集部の調査で、評価損額などの財務データをウェブ上で確認できた455JAの合計。25年4月現在の全農協数は496)。このうち、茨城県の農協の含み損は計160.5億円で、満期まで保有する予定の債券も含めた有価証券の含み損を加えると計201.1億円に及ぶ。
すでに“損切り”を行った他県の農協では内部留保の大部分が吹き飛ぶなど、出資者である組合員にとっては看過できない事態となっている。具体的には、愛媛県のJAおちいまばりは24年度、有価証券売却損を48.5億円計上(利益剰余金は前年度比77%減)、JA高知市は同43.2億円計上(同91%減)、JAみやぎ登米は同37.6億円計上(同79%減)などだ。
これら3JAに続いて、巨額赤字に沈む可能性が高い農協をあぶり出すため、ダイヤモンド編集部は、455JAの有価証券の「含み損リスク」を独自に算出した。すると、茨城県において、含み損リスクが、前出の3JAが損切りする前の23年度の含み損リスク(JAおちいまばり12.6%、JA高知市26.4%、JAみやぎ登米15.5%)の平均18.2%を上回る農協が複数あることが判明した。
次ページでは、茨城県の農協を含み損リスクが大きい順に並べた「ワースト17・JAランキング」を大公開。債券運用の失敗によって有価証券の含み損が合計28億円超に膨らんでいる茨城県の四つの農協を明らかにする。財務が毀損しかねない“危険水域”にある三つの農協はどこだろうか。
茨城県には、有価証券の含み損が、半年間で43%増え、48.3億円に膨らむなど、急激にリスクが高まっている農協もあった。
過去には、経営が悪化して近隣の農協に救済合併されたり、組合員の出資金を1口分1000円まで大幅に減額したりした農協が存在し、いずれのケースでも出資者や取引先に多大な悪影響を及ぼした。次に淘汰される農協はいったいどこなのか。
JAつくば市、JAつくば市谷田部、JAなめがたしおさい、JAほこた、JAやさと、JA稲敷、JA茨城みなみ、JA茨城むつみ、JA茨城旭村、JA岩井、JA常総ひかり、JA常陸、JA新ひたち野、JA水郷つくば、JA水戸、JA日立市多賀、JA北つくば








