目覚ましい中国企業の躍進
国ぐるみの巨大な新技術開発システム

 特許出願件数の過去の推移を見ると、最も注目されるのは中国企業の躍進だ。個別企業ベースでベストテンの1位と3位を占め、国別ランキングでは、米国、わが国に次いで2万5000件で第3位の地位に上り詰めた。

 出願件数は前年対比18.7%と大幅に伸びている。増加率が2桁になったのは世界で唯一、中国だけだった。米国の同プラス7.1%増、わが国のマイナス3%と比較すると、中国企業の出願件数増のマグニチュードが分かる。

 この伸び率を見ると、中国企業の技術力がかなりの速度で、米国やわが国などの技術大国を追いかけている姿が鮮明化する。これまで中国企業は安価で豊富な労働力を使って、低コストで製品を作るイメージが強かったが、そうした産業構造から脱皮しつつあることが見て取れる。

 その背景には、政府が国を挙げて、高付加価値の製品や技術を開発すべく精力的に取り組む姿勢がある。ここ数年で人件費の上昇が顕著になっていることを考えると、共産党政権は、企業の技術力を高めて高付加価値を生み出す産業構造へと進むことが必須の条件であるのを十分に理解している。

 そうした認識に基づき、中国政府は大学などのアカデミズムの研究者と実際の企業とを結び付けて、「大学城」と呼ばれる巨大な新技術開発のシステムを構築している。研究開発分野で1万人を超える人員を有することもあるという。その物量は、日本人の感覚をはるかに超えるものがある。

 中国経済は不動産バブルや経済格差などの問題を抱えており、今後、共産党政権がそうした経済問題に対応できるか否かに疑問の余地はある。しかも、一人っ子政策の影響で、労働力人口が減少することを考えると、成長力の鈍化は避けられない。しかし、中国の企業部門が持つダイナミズムを過小評価することはできない。