筆者 この件より以前に、2人は親しい間柄だったのでしょうか。

設楽 話したことはほとんどなく、これが初めてだったようです。

筆者 酔った勢いで、軽率な言葉を発した可能性があり得ますね。

同じセクハラ問題の男性と女性が
偶然、同時に相談に来たことも

設楽 実は、ほぼ時を同じくして、この女性も我々のもとへ相談に来ていた。これはたまたま偶然のことです。他の役員が女性から相談を受けました。女性は傷ついていた。「会社は、あの男性に処罰を与えてほしい。解雇などにしてほしい。そのようにはならないのですか」といった意味合いのことを話されていたようです。
  
 我々ユニオンはこのケースに限らず、被害に遭った女性の言い分や考えは当然、尊重します。あえて言うまでもなく、この男性の言動には大いに問題があるのです。しかし、「この男を解雇にしたい」といったネガティブな対応で解決するのは、好ましくないとも考えているのです。

 そこで女性には、こんなことを答えました。「会社の人事部に、ユニオンとして団体交渉を申し込むことはできます。その会社の労務管理は、確かに行き届いていない。男性の言動があなたの名誉や人権を侵害するものであり、そのことは厳しく指摘する。

 そして男性が非を認め、謝るようにさせます。その上で、被害者、加害者の氏名を挙げることなく、こういう事件があったが、絶対に繰り返さないようにと、人事部などから全社員に向けて周知徹底させることを、要求することはできます。

 このように会社全体の問題として捉え、解決することが好ましいのです。これは、「あの人を解雇にしろ」というものではありません。雇用均等法でも謳われている「ポジティブアクション」なのです。

筆者 1人の男性の非常識な行動を「会社の問題」として捉えることに、私などは違和感を覚えなくもないですが……女性はその時点では、どのような反応をしたのでしょうか。

設楽 心は相当傷ついていたので、男に対し「許せない」という思いが強かったようです。ところが事態は、これからさらに深刻化する。会社が、社員らに事実をきちんと周知するのではなく、伏せてしまう方向で動いたのです。