増えているインキュベーションオフィス
筆者が入居している所も破格の条件だが…
筆者が入居しているオフィスは、「ベンチャーKANDA」という東京都の公社が運営しているインキュベーションオフィスの一角にある。
このベンチャーKANDAだが、大手町の経団連会館から徒歩5分という絶好のロケーションにありながら、18平方メートルという広さで管理費込み約4万円という破格の家賃設定となっている。
これだけの好条件なので、入居希望者が列をなして待っているだろうと思いきや、下の写真にある通り常に埋まっているとは言い難い状態となっている(注:看板がない部屋には入居企業がいない)。
入居条件として「起業家精神に満ちた設立1年未満」のベンチャーのみを対象としていること、東京都が運営していることもあり公序良俗に反しないビジネスをする企業に限っていること、入居できるのが延長を含めて最長2年に限定されていることなどの制約があるが、それにしてもなぜこれほど好条件の施設が常に埋まり続けていないのかと思ってしまう。
加えて、事務室の担当の方に伺うと、都内の近隣にも民間が運営しているインキュベーションオフィスが複数あり、同じような条件で入居できるという。
都内では最近、ベンチャー企業向けのインキュベーションオフィスが増えている。大手デベロッパーが丸の内、日本橋、虎ノ門、代官山などで展開しているものがその代表例だ。
これまでの大手デベロッパーといえば、豪華なオフィスビルにおしゃれな飲食店やショップなどでテナントを惹きつける街づくりを展開するというのが常識だった。しかし、最近ではハードやサービスよりも人に重点を置こうとする傾向を感じる。ハードやサービスだけでは差別化しにくくなったのが要因なのかもしれない。