「日本で超小型の電気自動車を作るベンチャーを立ち上げました」というと、「ITやアプリなどと違って、モノづくりは大変ですよね」とか、「日本にはしがらみが多いので海外でビジネスをした方がいいのではないですか」と言われることがある。
御意見はもっともであり、同じインキュベーションオフィスに入居している他のベンチャーの動向を見ていても、IT系やサービス系の方が圧倒的に多く、その方が短期間に成長しているように感じる。
また、電気自動車のベンチャーの中には、フィリピンやタイなどアジアでの事業化を先行的に取り組んでいる企業があるが、世界的な有力メーカーの少ないアジアでトライすることの合理性も分かる気がする。
しかし、モノづくりをやるなら日本でやるのが面白いというのが筆者の意見だ。
世の中にないものは
作り手が生み出すしかない
第1回でも述べたが、共同創業者でありパートナーである根津のことを筆者が知ったのは、たまたま見ていたニュース番組で彼が手がけた電動バイクのzecOO(ゼクウ:写真)が取り上げられていたからだ。
その作品の持つ美しさに圧倒され、すぐに彼に連絡を取りたくなった。そのときは一緒に起業することになるとは思いもしなかったが、彼と頻繁に会うようになったことがrimOnO(リモノ)の設立につながった。
根津はこういう。
「究極のマーケットインはプロダクトアウトです」
企業の勝手な思い込みで商品を作っても売れないので、消費者が欲するものを作るべきというのがマーケットインという概念である。しかし、消費者がよく知っている商品であればともかく、世の中に一度も登場したことがない商品の場合はどうなるのか。
作り手自身が欲しいと思うようなものを作り、それを提示すべきではないか、というのが根津の主張だ。