コーヒーに続き、ドーナツでも話題を総ざらいし、ライバルコンビニのみならず、外食店も脅かす存在として改めて強さを見せつけたセブン-イレブン。なぜセブンはこんなにも強いのだろうか?
ミスドにそっくりだが独自のこだわり
「実験を重ねて定番を磨き上げる」
昨年10月から関西でスタートし、今年8月までに全国の約1万7000店舗に拡大する予定のセブン-イレブン・ジャパンの「セブンカフェ ドーナツ」。「チョコオールドファッション」など現在は9種類だ。
セブンのドーナツは、どう見ても業界規模1173億円(2013年、富士経済調べ)のうち、9割ものシェアを誇るドーナツ業界の雄・ミスタードーナツの商品にそっくりだ。
やはりセブンはミスドを真似たのか?商品本部でドーナツを担当している結城晃シニアマーチャンダイザーに素朴な疑問をぶつけると、「確かに似ています。しかし、マネはしていません」との返事が返ってきた。
実際、見た目はそっくりだが、食べ比べてみると確かに味は違う。セブンの方が甘さ控えめで、あっさり味なのだ。価格も違う。セブンは1個100~110円。ミスドよりも数十円安い。
セブンが重視するのは、「定番商品」。セブンカフェと相性のいいおやつということでドーナツに白羽の矢が立ったのだが、毎日食べても飽きないという観点で選ばれたのが、現在のラインナップだという。「甘過ぎない味で、生地の口溶けやふんわり感を追求しました」(結城氏)。各地域に契約しているメーカーの専用工場があり、そこで製造している。「揚げ方も実は難しく、味にバラつきが出ないよう、機械のコントロールに加えて出荷前の確認などにも細心の注意を払っています」(同)。
味だけではない。ドーナツはレジカウンターに専用の什器を置いて販売している。パン売り場での袋売りも実験したが、レジ横に置いた方が売れ行きがいいという結果が得られたのだという。工場での製造過程、店頭での売り方、価格など、さまざまな実験を重ねた結果が、今のスタイルだというわけだ。