全国から自殺寸前の人がやってきてそこで「食」をもてなされると活力を得て帰っていく。まさに「ふるさと」のような地が青森・岩木山麓にある『森のイスキア』だ。
1995年公開、龍村仁監督『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』でその活躍が世界中で注目された佐藤初女氏。4月17日に1200名を集めた講演会も大盛況、当日500冊超の最新刊が売れたという。
本連載第9回記事『なぜ、子育ての悩みはすべて「食」で解決するのか?』に1万9000超の「いいね!」がついている。
なぜ、この記事に話題が集まっているのか。
93歳の集大成書籍『限りなく透明に凜として生きる―「日本のマザー・テレサ」が明かす幸せの光―』(本記事巻末に購入者特典あり)を通じて、初女さんは今、何を伝えたいのだろうか。
新しいものはいいものと
とらえられてきた戦後
佐藤初女(さとう・はつめ)1921年青森県生まれ。1992年、岩木山麓に『森のイスキア』を開く。病気や苦しみなど、様々な悩みを抱える人々の心に耳を傾け、「日本のマザー・テレサ」とも呼ばれる。1995年に公開された龍村仁監督の映画『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』で活動が全世界で紹介され、国内外でも精力的に講演会を行う。アメリカ国際ソロプチミスト協会賞 国際ソロプチミスト女性ボランティア賞、第48回東奥賞受賞。2013年11月の「世界の平和を祈る祭典 in 日本平」でキリスト教代表で登壇。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王と初対面。その際、おむすびをふるまう。『おむすびの祈り』『朝一番のおいしいにおい』など著書多数。(撮影:岸圭子)
敗戦後70年が経過しようとしています。
戦争中は勝つまでは勝つまではと一生懸命忍耐して倹約し、必勝を願いました。
そして敗戦になったと同時に欧米の文化が流れるように入ってきて、これがいいのか、どれがいいのか、判断がつかないほどでした。
見るものすべてが新しく、いちばん新しいものがいちばんいいもの、そんなふうにとらえがちな世の中でした。
なかでも食文化が大きな位置を占めて、ごはんは頭が悪くなる、胃が疲れるなどと言われて、パン食が広まりました。
子育てもそう。ミルクが入ってきて、年寄りは母乳がいいと言っていましたが、当時の若いお母さんたちはミルクがいいと信じていましたね。
でも、長い目で見てみると、やっぱりそれは間違っていた、昔のほうがよかったと思うことも今、たくさん出てきています。
食べものだって、わたしたち日本人の体にいちばん合うのはごはんです。体に力が入らないときも、ごはんを食べれば元気になる。
そして、そのごはんを食べたお母さんの乳房を通して出る母乳は、お母さんの命であり、その命が即、赤ちゃんに通じていくわけです。
以前、助産師さんから聞いた話ですが、お母さんのお乳も透明なほうがいいんですって。
昔は皇室に乳母制度がありましたが、乳母を選ぶときに黒いお盆にお乳を搾り、それでお盆が透けて見える透明なお乳を出す女性を乳母として選んだそうです。
緑の野菜のいのちが変わるときも透明になるように、お乳もそうなのだなと深く感じました。
欧米食になってから、離乳食も子どもにお箸ではなく、スプーンやフォークを使わせる人が多くいます。でも、やっぱりお箸を使ったほうがいい。
ある韓国の人と食事をしたときに、箸は日本古来のものなのに、日本人はどうしてスプーンとフォークで食べさせるのかと聞かれたことがあります。
子どもは親のほうを見ながらマネするので、小さくてもお箸は難しいものではありません。子どもなりにヒントをつかんで慣れますから、やってできたら褒めてあげて、大人はそういう配慮をしたいですね。