日本人はおむすびを食べて、
それで旅立っていく
ほんとうに感じるのは、終末も近づいているような病人は、おむすびが食べたい、白いごはんが食べたいということ。
以前、病院でおむすびをつくってふるまったんですね。60人ぐらいの患者さんと食べたんですが、食べたらみんな生き生きしている。「おいしい、おいしい」って食べているんですね。
会場に入れず入り口まで担架でくるような人もいたのですが、その人まで「おいしかった」って言っているんです。
とても食べられる状態でないのに、どうやって食べたんだろうと思ったら、「ごはんとのりのにおいで食べた」。それでおいしかったって。食べられなくても食べているんですね。
その病院では寝たきりの人が8人ぐらいいました。
会いたいから会ってくださいと言われて、病室まで行ってみると、みんな同じように目線が届くところにおむすびを置いて見ているんです。今は食べられないけれど、あとで食べるんですって。
ほんとうにおむすびというのは、最後まで日本人に入っていくものなのだなと感じました。
『森のイスキア』を訪れる人からは、たいてい食べさせてくださいといわれますから、今は毎日のようにおむすびを握っています。
外国での講演会でもおむすびをやってくださいと言われることが多いですよ。
一度ではできないものですが、やっているうちにおいしくできるようになります。ぜひおいしくつくって人様を喜ばせてください。