オバマ大統領が誕生して、この4月29日で100日が経過した。様々なメディアでオバマ政権の最初の採点が行なわれている。結果は上々である。特にオバマ個人に対する好感度は極めて高い得点を得ている。国民の8割が「オバマが好きである」と言っている。オバマの政策に対する支持率となると5-6割程度に下がる。大統領個人としての魅力が高い人気を支えている。

“聞き上手”と
“果敢な行動力”に高評価

 では人間オバマのどのような側面が評価されているのか。ある世論調査によると「人の意見をよく聞く」がトップで、90%と驚異的な得点を得ている。それに続くのが「国民が抱える問題をよく理解している」が73%で2番手につけている。即ち「大衆の心情をよく理解している聞き上手の大統領」というイメージである。

 政治スタイルについては「問題解決に当たるときの迅速さと果敢さ」を褒めるコメントが多い。就任後100日間に実に様々な問題に取り組んできた。住宅ローン不払いによる抵当流れ物件の増加問題、大銀行とAIGへの公的資金の投入、GM・クライスラーの救済等、早急に対応策を講じなければならない問題が目白押しに並んだ。こうした難題にひるむことなく取り組んだ姿勢が高く評価されているのである。

 オバマ大統領はルーズベルト大統領としばしば比較される。大恐慌の真っ只中の1933年に就任したルーズベルト大統領とは、登場したときの経済環境がよく似ているからである。ルーズベルト大統領も就任後100日間で様々な景気浮揚策を矢継ぎ早に打ち出した。しかし、政策数の多さと、多岐にわたっている点でオバマ大統領がルーズベルト大統領を凌ぐのではないかと言われている。

 オバマ大統領の「大胆さ」に注目する評者もいる。ブッシュ政権時代にテロリストを収容して拷問にかけたグアンタナモ収容所の即時閉鎖、50年近くも続いたキューバへの渡航制限の撤廃、イラクからの撤兵から一転してアフガニスタンへの増派、9.11以降関係が冷え切っていたイスラム諸国との関係改善の呼びかけ等、ブッシュ大統領とは180度違う外交・軍事政策を次から次へと繰り出した。

 オバマの政治スタイルは「イデオロギーよりはプラグマティズムを優先する」政策であると言われる。その最たる例が、幹細胞研究への連邦資金の供与再開である。ブッシュ政権下では幹細胞の研究は倫理問題が絡むというイデオロギー的(やや宗教的)な理由から、消極姿勢をとり続けてきた。オバマが再開したのは「こんな状態を続けてはアメリカが全世界の開発競争から脱落してしまう」との実務的理由からであった。