GWの前半に当たる4月30日に、日本銀行の金融政策決定会合が開かれる。注目は4月と10月に公表される「経済・物価情勢の展望」、いわゆる展望レポート。中でも消費者物価の予想である。
2年前の14年4月4日に、黒田日銀は本格的なインフレ目標政策を採用し、消費物価の前年比上昇率2%(消費税率引き上げの影響を除く)を、今後2年程度のできるだけ早い時期に実現するという目標を掲げた。この目標達成にために「量的・質的金融緩和(QQE)」政策を開始、これが黒田バズーカ砲である。しかし、現時点で2%のインフレ目標が達成できないことはほぼ確実となっている。
量的金融緩和の効果とは
新聞紙上などでは、2%が達成できるかどうか、できなかった場合、日銀の責任はどうなるのかばかりが議論されがちだが、本来、インフレ目標と量的緩和政策は手段であり、どのような効果を狙ったものかという視点で評価されなくてならない。
量的緩和政策の効果は、名目金利がゼロにまで下がったときに、なお金融政策で景気を刺激しようという政策である。実体経済への波及経路は大きく分けて二つある。
一つがポートフォリオリバランス効果。中央銀行(日銀)は金融機関などが保有する国債を買って、マネーを供給する。金融機関には国債の代わりにマネーが入ってくるために、新たに資産を購入して保有資産の構成を組み替える。これがポートフォリオリバランス効果である。
まず量的緩和に素早く反応するのが、為替、株式といった金融市場。円が大量に供給されて、ドルなどの外国通貨に対して相対的に円の量が増えると円安に動くと予想されるため、円を売って外貨建ての資産を購入するという動きが起こる(円安になると、円換算の資産が増えるため)。
そこで円安→輸出増→生産増→賃金・設備投資増→需要増→物価上昇という経路が想定される。金融機関が手に入れたマネーで株式を購入すれば、株価上昇→個人資産の増加・企業財務の改善→消費増・設備投資増→需要増→物価上昇につながる。
もう一つの効果が「予想インフレ率」の引き上げである。企業や消費者は中央銀行が将来にわたってマネーを供給し続けると予想すると、これから物価が上昇するだろうという期待が形成される。