楽天、パナソニック、ユニクロなどを筆頭に、外国人の採用を増やす日本企業が増えている。これに伴い、日本人と外国人が就職で競り合うことも珍しくなくなったのではないだろうか。

 企業のグローバル化で、英語が話せて、専門知識を有する優秀な人材需要が高まっていることが背景にある。一方で、供給側であるアジアの大学が学生の就職に力を入れており、アジアの学生の「就職力」が高まっていることも要因の一つと言える。

学生の就職支援を強化するシンガポール
大学1年生から職業適正テストを実施

 東南アジアのハブとして急速な経済成長を達成したシンガポールでは、大学生の就職を徹底的にサポートする体制を確立しようとしている。

国を挙げて就職支援をしているシンガポール。なんと大学1年生から職業適正テストやカウンセリングを行っている(シンガポール国立大学キャリアセンターのサイト)

 シンガポールでは教育省が学生の就業支援の一環でインターンを推奨しており、国内大学のほとんどでインターン・プログラムを導入している。

 2014年10月7日付の地元紙ストレーツ・タイムズは〈シンガポールでは大学在学中に複数のインターンを経験する学生が増えている〉と報じている。シンガポール経営大学(SMU)では学部生の約60%が2~6カ所でインターンを経験。南洋工科大学(NTU)では学部生の80%に当たる4000人以上がインターンに参加したという。

 13年のQS世界大学ランキングで東京大学を抜いてアジア1位となったシンガポール国立大学(NUS)では、エンジニアリングとコンピュータ学部に所属する1800人の学生に対してインターンを必修にしている。

 また、全学生を対象に今年度から、就職支援強化の一環で1年次からのキャリア相談や適正テストなどを開始する予定だ。これまでの就職支援は3年と4年次に行うのがほとんどだったが、1年次から職業適性テストやカウンセリングなどを行うことで学生が就職活動をスムーズに行える環境を整える。