英国で行った講演の「録音」が大和日英基金のHPに掲載された。見事な「カタカナ英語」で恥ずかしい限りだが、講演後に英国人聴衆から「とても明快だった」とのコメントを頂いた。
高校卒業後、13年間ほとんど英語を使うことがなかった。商社に勤務していたが、ずっと国内鉄鋼部門にいた。会社を辞めて、30歳を過ぎてゼロから英語を勉強し直した。そこから12年かけて、ここまでできるようになった。これを聴いて「これなら自分もできるかも」と思う方がいてくれればと思う。海外で仕事をすることは、一部のエリートや帰国子女だけのものではないのだ。
「グローバル人材」とは
「宇宙人」のようなものか
円高による日本企業の工場移転、海外M&Aの展開(第26回を参照のこと)や、日本企業への就職を目指すアジアからの留学生の増加など、「グローバル化」の進展によって、東京大学の学部「秋入学」の提唱(第28回を参照のこと)に象徴されるように、国境を超えて活躍できる「グローバル人材」の育成が、課題として急浮上してきた。巷には「グローバル人材養成論」の類のマニュアル本が溢れている。「語学力」「コミュニケーション能力」「ネットワーキング能力」などが「グローバル人材」の条件とされ、その習得のためのノウハウが書かれている。
だが、「グローバル人材」の条件がわかっても、それらは簡単に身に付くものではない。私自身、英語をゼロから勉強し直して、ようやく世界的権威に顔を覚えてもらえるようになるまで、12年かかった(第31回を参照のこと)。しかし、日本の若者が「グローバル人材」になるために、そんな長い月日はかけられないだろう。大学入学後、わずか2年半後に就職活動が始まる。その時、必要な語学力、スキルを身に付けていなければ、企業からは「外国人の若者を採用する」と、冷たく突き放されてしまうのだ。