IoTビジネスの成否は
セキュリティがカギを握る

 もう1つの心配は、IoTが普及するにつれ、自動運転や医療機器などがハッキングされるリスクが高まるという点です。

 たとえば、米国では、産業インフラなどの監視・制御システム「SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)」にサイバー攻撃が仕掛けられ、水道水処理施設でポンプに障害が起きる事件が発生。閉じておくべきバルブを開けられたことで、近くのホテルに下水が流れ込むという被害が出ています。

 この事件は、世界中で同様のシステムを運営する自治体や企業に大きな脅威をもたらしました。

 また、身近な例としては、赤ちゃんやペットの映像をリアルタイムで見るためのライブカメラが挙げられます。これをWi-Fiにつなぐと、どこにいてもPCやスマホで映像を見ることができますから、安心ですよね。しかし、これは意外と簡単にハッキングできます。もしかしたら、誰かに部屋の中を盗視されているかもしれません。

 もちろん、これらを開発した人は悪用されるとは思ってもいなかったでしょう。

 しかし、IoTはセキュリティと一体になって初めて安心して利用できるもの。セキュリティを軽視したIoTビジネスはいずれ淘汰される運命にあるのです。

日本企業にとっても
飛躍できるビッグチャンス!

 とはいえ、IoTは大きなビジネスチャンスであることは間違いありません。日本企業にとっても飛躍できる絶好の機会ですし、私も非常に期待しています。

 そのポイントは、「消費者とインタラクティブにコミュニケーションできるようになる」こと。発信した情報に対する消費者の反応(データ)を吸い上げ、サービスを改善していくといった取り組みが重要になります。

 たとえば、今のスマホには17個くらいのセンサーが入っています。10年前なら3000万円くらいしましたが、今では3万円程度です。しかし、そのセンサーのデータが吸い上げられているかというと、ほとんどされていません。プライバシーを守りながら、このデータをどのように吸い上げ、どう活用していくかも課題になってくるでしょう。

 センサーが安価になったことで、米国では輸送する荷物にセンサーを入れるサービスも登場しています。
 高価な肉を空輸するとき、荷物の中にセンサーを入れておくと、輸送中の温度や振動などが記録され、利用者はそのデータをスマホアプリで確認することができます。輸送中の温度が一定以上高いときは、「これでは生肉の鮮度が落ちるから引き取れない」と断ることができるのです。

 また、米大手ピザ・チェーンのドミノ・ピザでは、スマートウォッチで注文したり、進捗状況の確認が可能になっています。スマートウォッチの専用アプリを使って、最近の注文履歴などを表示して選べば小さな画面でも注文は簡単。頼んだピザが調理中なのか配送中なのかもチェックできます。