具体的には、夫が親権を望んでいる場合、「夫を困らせたい、言いなりになりたくない、ギャフンと言わせたい」という理由で、夫が不在の間に妻が子どもを連れ去ってしまうケースは珍しくありません。もちろん、子どものためを考えて夫より妻が引き取った方が良いのなら話は別ですが、妻が夫を困らせるケースもあります。

 たとえば、乳飲み子を抱えているのに妻が夜通し遊び歩いたり、妻が夫の預金残高を使い込んだせいで残高不足に陥り、子どもの学資保険の引き落としができなかったり、妻が頻繁に家出して育児を夫に丸投げしたり、といった悪態を繰り返しているにもかかわらず、妻側が「子どもも私と一緒に暮らすことを望んでいる」などと言い出すのは、もはや嫌がらせ以外の何者でもないでしょう。

 そういった後ろ向きな私情を取っ払って、逆恨みをしたいという衝動を抑え、あくまで子ども目線で親権や養育費、面会を決めてもらいたいものだと、筆者は常々思っています。

離婚すると父親の8割が
子どもと離れ離れになる

 さて、ここで言う親権者とは、離婚後子どもを引き取って面倒をみる親のことですが、離婚の際に子どもを引き取りたい男性陣にとってはなかなか厳しい統計があります。

 『厚生労働省・母子家庭に関する調査』(平成10年)によると、世間の状況は「妻が全児の親権を行う場合」が79.2%、「夫が全児の親権を行う場合」は16.5%となっています。このように、父親の8割が子どもと離れ離れになるというのが足もとの現実なのです。

 それもそのはず。たとえば父親が会社員、母親が専業主婦という家庭では、もし父親が離婚後に子どもを引き取っても、フルタイムで仕事をしているので、その間どうしても子どもの面倒を自分でみることができません。だから、子どもが6歳以下の場合は保育園、6歳以上の場合は学童保育や民間の保育施設に預けなければなりませんが、保育料は定時に仕事が終わったとしても月5万円、残業で夜の7時や8時になると10万円を超えることが多く、その金額を毎月の給料から捻出するのは容易ではありません。

 また、実際に父親が子どもを引き取ったとしても、母親からの養育費はあまり期待できないのが実情です。もちろん、本来非親権者は親権者に対し、子の養育費を支払わなければならないのですが、離婚前まで専業主婦だった妻が離婚後にすぐまとまった収入を得ることは厳しく、自分の収入で自分の生活費を賄うので精一杯ですから、貯金もままなりません。それなのに、父親へ養育費を支払うことができるでしょうか。