今年も「セル・イン・メイ」が襲来か!?
「99%の確率で調整」との見方も

 5月といえば、気がかりなのが「セル・イン・メイ」だ。これは元は米国の投資格言「Sell in May and go away」(5月に売り逃げろ)で、同月に大幅な株価の下落が多いことを警告している。理由としては、ヘッジファンドの決算が5月に集中することなどが言われているが、明らかではない。理論的な説明はできないが経験的に当たるとされる現象、「アノマリー」の一種である。

 記憶に新しい実例が、2013年5月下旬に起きた暴落だ。同月23日には日経平均が前日比1143円下落。6月13日までにそこからさらに2039円、計約3200円も下がった。「直近5年間で5月の日経平均の勝敗を見ると1勝4敗。2000年以降では7勝8敗」(藤井明代・カブドットコム証券投資アナリスト)ということだが、近年に限って見るとやはり不安は大きい。そこで、今年はセル・イン・メイはどの程度あり得るのかについても意見を聞いた(表2参照)。

※各社へのアンケートを元に作成。肩書きは省略(表1参照)。特に表記のない限り、見通し・コメントはアナリスト、ストラテジスト、エコノミスト等個人のものである
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「99%の確率であり得る」としたのは井出氏。同氏は先述の通り、2万円以上の株価は行き過ぎで遅かれ早かれ調整が必至と見ているためだ。今年4月30日の下落は“セル・イン・メイが一足早く来た”との見方もあるが、井出氏は「5~6月に1万8000円程度まで下げる場面も」と、いっそうの下落もあり得ると予測する。

 6月末時点の見通しでは強気だった藤本氏も、「高値は5月半ばから6月前半につけ、その後は1万9000円割れ水準までの下落を想定している。その意味では、8割以上の確率で5月または6月に下落が始まる」という。

 小林真一郎・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員やメリルリンチ日本証券などは、それほど心配はいらないとの立場だ。「GPIFの株式運用比率の引き上げや日本銀行のETF買い取りなどもあり、海外市場での株価下落が波及する可能性を含めても確率は20%程度にとどまるのではないか」(小林氏)。また、「今年は例年以上にセル・イン・メイへの警戒感が強く、仮に調整したとしても大幅な下げにはならないだろう」(広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト)という意見もある。

 最も多かったのは、「50%」というものだ。確率としては決して低くはない。リスク要因として多く挙げられたのが、米国の利上げ、ギリシャ問題、そして企業の業績予想が市場の期待を下回ることである。特に米国利上げとギリシャ問題では、「市場の混乱は大きなものになる」(藤代宏一・第一生命経済研究所主任エコノミスト)、「世界的にリスク回避姿勢が強まれば、株価は大幅に下振れる」(村瀬拓人・日本総合研究所研究員)可能性がある。

 13年5月の急落の引き金になったのは、バーナンキ前FRB(連邦準備制度理事会)議長の量的緩和縮小開始(テーパリング)発言と、中国の経済指標悪化だった。「米国の利上げ動向が注目される中、中国の景気減速の一方で同国の株式市場がバブル的に急上昇しており、材料が当時と類似している」(土信田雅之・楽天証券シニア・マーケットアナリスト)という指摘もある。相応の警戒はしておいた方が良さそうだ。