2年半で2.3倍になった株価
当面は底堅い展開になりそうだが…

金融相場には、いったん崩れだすと大幅に下落する脆さがある

 4月10日、日経平均株価は約15年ぶりに一時2万円の大台に到達した。直近の株価の安値は2012年11月の8661円だったことを考えると、約2年半の間にわが国の株価は約2.3倍に跳ね上がったことになる。当該期間では、世界の主要株式市場の中でナンバーワンの上昇率だ。

 株価上昇の背景には、円安傾向の進行等によって企業業績が回復したことに加えて、日銀の異次元の金融緩和策によって“金余り”の状況になっていることがある。

 そうした株価支援材料は、短期的に大きく変わることはないだろう。利益確定の売りで一時的に調整はあるだろうが、当面、底堅い展開になると見られる。もう少し上値余地を見ることはできるだろう。

 ただ、足元で世界の主要国の株式市場は、潤沢な流動性を背景に急ピッチに上昇する傾向が目立っている。市場関係者の中には、上昇のスピードが速く、典型的な“金余り相場=金融相場”の様相を呈しているとの指摘もある。

 急ピッチの株価上昇に、実際の企業業績の拡大が追いつければよいのだが、あまりに期待先行しすぎると、そのギャップを埋めるために株価が大きく下落する可能性も考えられる。金融相場には、そうした脆さが共存している。

 また、わが国の株式市場では、年金資金運用機構(GPIF)や日銀、さらにはゆうちょなどの資金が株価の下支え役を果たしている。“官制相場”と言えるかもしれない。今後の株価動向には慎重な見方が必要だ。