成功している人は、利益が出ても決して自分の欲望には使わず、それを翌年に使用する肥料代にしたり地代にしたりして蓄えています。

5年で5倍の収入差になる

 私たちの農場で最初に独立した山田広治君は、先輩農家の人たちの話を素直に聞いて、それを実行しました。その甲斐もあって、1年目から立派なレタスが収穫できたのです。

 もちろん1年目からお金が残りました。そのお金で中古のトラックや肥料を買ったのです。

 翌年、何が起きたでしょうか?

 トラックを購入したことで作業がやりやすくなり、生産性が高まりました。収穫作業と管理作業を平行して行えるようになったことで、生産性は倍になりました。また、事前に肥料も半分購入していたので、その年の肥料代は少なくてすみました。

 その結果、天候被害にあっても持ちこたえられる経営体質になったのです。

 とくに独立して間もない人にとっては、稼いだお金の使い方がとても大切です。どちらかというとお金の稼ぎ方よりも、お金の使い方のほうが難しいと感じることがしばしばあります。

 お金に余裕があったとき趣味に使ってしまったら、そのお金は一時の満足で消えてしまうだけです。たとえば1万円浪費したら、その1万円が増えることはありえません。しかし、独立したときの1万円は、その使い方で数年後の10万円に匹敵するほどの価値があります。

 ご褒美として使ってしまった人に比べて独立5年目の農業所得で見ると、およそ5倍以上は違ってくるでしょう。

 このように、最初の段階でお金の使い方を間違えると、その後の経営スピードはまったく違う次元になってしまいます。そして、その後の個人所得でも大きな開きが出てくるのです。