男子プロテニスツアー、マドリードオープンは、アンディ・マリー(イギリス)が“クレーの王者”ラファエル・ナダル(スペイン)をストレートで破って優勝した。
準決勝で錦織圭がこのマリーに完敗した時、ため息をついた人も、ナダルとの決勝を見て「これじゃ負けるのも仕方ない」と思ったのではないだろうか。それほど今大会のマリーの出来はすばらしかった。ミスがほとんどないうえ、サーブもストロークもほぼ完璧。試合の主導権を握り、相手につけ入る隙を与えないプレーを続けた。
ただ、マリーが今後もこのプレーを続けることはありえない。これまでの成績を見ても浮き沈みはある。今回は心身ともに最高の状態で臨めたのだろう。
世界のトップランカーたちは今後、10日開幕のイタリア国際(クレー)に出場して、24日から始まる全仏(クレー)に臨む。錦織も調子を上げて行けば、十分上位進出は狙えるはずだ。
錦織が参戦するATPツアーの
ポイント制の仕組み
ところで今大会、錦織にいつもに増して期待が集まったのは、マドリードオープンがATPマスターズ1000というグレードの高い大会で、その初制覇がかかっていたことがある。
ATPツアーの大会は毎週のように行われるが、それらはいくつかのグレード(規格)に分けられている。グレードが高ければ賞金はより高く、ランキングに反映されるポイントも多くなるのだ。
最もグレードが高いのはいうまでもなくグランドスラム(全豪、全仏、ウインブルドン、全米の4大大会)である。優勝者への賞金は190万ドル~320万ドル=約2億3000万~3億8000万円でポイントは2000与えられる。これに次ぐのがATPマスターズ1000で優勝賞金は60万~100万ドル、与えられるポイントは1000で9試合ある。以下、ATP500シリーズ(優勝賞金30万~60万ドル、500ポイント)、ATP250シリーズ(優勝賞金7万5千~19万5千ドル、250ポイント)と続く。
錦織はこれまで500シリーズは5勝、250シリーズは4勝しているが、マスターズ1000は昨年のマドリードオープンの準優勝があるだけで、まだ優勝していない。昨年の全米準優勝という快挙はあるもののマスターズ1000のタイトルは獲得していないのだ。だからこそ注目が集まったが、今回も厚い壁に跳ね返されたわけだ。だが、強豪ひしめく中、しっかり準決勝まで残ったのはすごい。安定して世界のトップと渡り合える実力を身に着けたといえる。