東芝の不適切会計には原子力発電所の案件が関係していそうだ
Photo by Jun Morikawa

「いつ起きてもおかしくないと思っていた」。ある関係者はため息を漏らす。

 5月8日、東芝が発表した国内インフラ案件をめぐる不適切会計の問題。4月に、会計処理に問題がある可能性があるとして特別調査委員会を設置した後、「さらなる調査が必要」として、外部の専門家だけで構成する第三者委員会を設置する事態となったのだ。

 さらに13日深夜には急きょ、2011~13年度の営業損益ベースで500億円規模の下方修正を見込んでいることを公表し、15年3月期決算の発表も6月以降にずれ込むのが確実となった。東芝株も11日にストップ安となるなど、混乱が続いている。

 とはいえ、東芝はいまだ、どの案件で不適切な会計が施されたのかを明らかにしていない。

 このため、業界では「一体、東芝で何が起きているのだ」(経済産業省幹部)と、内外で情報収集を焦る動きが強まっている。

進行基準の「にじみ」

「発端は国内の原子力案件のようだ」。事情に詳しい関係者は話す。

 東芝では、前社長の佐々木則夫副会長、前電力システム社社長の五十嵐安治氏が電力部門を統括していた時代、特に東京電力福島第1原発の事故の後は、予算達成の要求が厳しくなっていたという。

「そこで、予算の帳尻を合わせるために、“活用”されていたのが『工事進行基準』だった」(関係者)