工事進行基準は、工期の長い案件で、工事の進み具合に応じて売上高や費用を立てる会計基準だ。金額をどのぐらい計上するかは、見積もりに左右される部分もあり、予算必達のために、この基準が“活用”されていた節がある。

「進行基準の解釈を変えるだけで十億円単位が動いた。予算達成のためには百億円単位での捻出が必要になることもあった」(同)

 もちろん、まったく実態と異なるようなむちゃくちゃな運用がされていたわけではないが、事業リスクを考慮した上で、解釈で変更できる工事進行基準が“恣意的”に運用されていたようだ。

「予算達成が厳しければ『進行基準を何とかしろ』という話はよく聞かれた」(同)。

 社内では、工事進行基準で計上できる売上高は、解釈の違いで捻出できることから、「『にじみ』と呼んでいた」(同)といい、「売り上げを、解釈だけで捻出する『麻薬』のような手法だった」と打ち明ける幹部もいる。

 また、近年、東芝はインフラ関連の案件を他社より安値で受注する代わりに「早く振り込んでくれという要求が多い」(電力会社幹部)との声が聞かれるほど、財務の帳尻合わせに追われていたのも遠因にあるかもしれない。

 現状では、問題の全容はまだ見えていないが、東芝の財務体質が一刻も早く改善されるべきなのは論をまたない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久、森川 潤)