“このためなら死ねる”
というものに出合うのが大切

 人間の本質は心といわれますが、人間の心というのは意味や価値を感じる感性のことです。我々は自分の仕事に意味を感じたときにやる気が出る、価値や素晴らしさを感じたときに命に火がつく、そうするとだんだん命が燃えてきて、最終的にはこのためなら死んでもいいという思いになる。その瞬間が人間としての人生の最も輝いた状態なのです。

 初女先生の今回の本には、そういう透明な命でさわやかに生きる本物の人間のあり方というのが書かれています。

 この生き方を自分のものにしていこうとすると、我々はなにかしら心から打ち込めるものを、ほんとうにこのためなら命はいらないといえるものに出合う必要があるんじゃないかと思うのです。

 この本を拝読すると、初女先生の女性としての母性、やさしさが非常に色濃く表現されていますが、その反面、なにかしら凜として生きるという強さが背景にあるように思えます。
 そういう意味では、初女先生の生き方というのは、ちょうど母親が子どもを育てるときの厳しさとやさしさ、というものなのですね。

 それが初女先生の活動の中核をなすものであろうと思います。
初女先生もまた、その強靭な愛の力によって貫かれた、素晴らしい人生を歩まれてこられたわけです。

 今年94歳になられる初女先生ですが、もっともっと長生きして、多くの方に素晴らしい幸せな人生を教えていただきたいというふうに心から願っております。