AIIBへの日本の参加と戦後70年談話は日中関係の展望を大きく開くきっかけとなるに違いない。安倍首相訪米は日米同盟関係をかつてない水準まで強化した。今後とも安全保障面では抑止力の強化が図られていくことになるのだろう。

 一方、米国は早速中国との関係調整にとりかかっている。5月15日にはケリー国務長官が訪中し、6月後半には米中の外務・財務担当の四閣僚が参加する米中戦略経済対話が開催され、9月の習近平国家主席の訪米に繋がる。米国の対中政策は南シナ海の埋め立てなどには強く反応しつつ、「協力できる分野を拡大し、利益が異なる分野をマネージする」という事である。

 日本も中国に対して同様のアプローチをとるべきではなかろうか。協力できる分野は地域での軍事信頼醸成措置、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、エネルギー、環境などの分野などであろうし、ウィン・ウィン関係の構築が可能であろう。

日韓は指導者が将来ビジョンを語れ
今こそ近隣諸国との関係改善に乗り出す時

 そして第四の課題は日韓関係である。本年は日韓基本条約締結50周年でもある。何よりも懸念するべきは、日韓双方の相手に対する国民感情の極端な悪化である。お互いを信頼しないという世論調査の結果だけではなく、日韓双方で双方を誹謗中傷するような言説が目立つ。

 もしもこのような国民感情を鎮めることができるとすれば、それは、両国の政治指導者が日韓関係の将来ビジョンを語り、大局的見地に立った国内コンセンサスをつくる努力をすることであろう。朴大統領が重視する慰安婦問題についても両国が相手の立場を尊重しつつ解決する気持ちになれば工夫はありうると思う。

 北朝鮮情勢は予断を許さないような危険な水域に来ているのかもしれない。北朝鮮国内での頻繁な人事交代や高官の粛清の噂など、国内情勢が不安定となっていることを示す兆しがある。また、核弾頭小型化や潜水艦発射弾道ミサイルの開発など、地域の安全保障を一層脅かす情勢になってきている。

 今、重要なのは日米韓の緊密な連携であり、危機管理計画の策定である。当然のことではあるが、中国も懸念を強めているに違いない。6者協議のうち北朝鮮を除く5ヵ国が連携を強化することが危機を未然に防ぐために重要であろう。

 安倍政権は成立から2年余であるが、多くのアクションをとり、国民の支持率は高く、国際的評価も高くなってきた。今こそ近隣諸国との関係改善に本格的に乗り出す時が来たのではないのだろうか。近隣諸国との安定的な関係なくして日本の安全と繁栄は担保されないことは、歴史が示しているところである。