百貨店で、ヤフーや楽天などのインターネット通販と組んだ催事が増えている。

 西武百貨店池袋本店は1月にYahoo!ショッピングとのグルメ催事を開催した。ネット通販のYahoo!ショッピングで2008年ベストストアに選ばれたり、限定商品や訳あり品などで人気の高い44店舗が、リアル出店した。

 ヤフーは、ウェブサイトで今回のイベントを大々的に告知。同時に、料理や食の分野で発信力の高いブロガー10人に試食してもらい、ブログによる口コミ効果を図った。

「通常の物産展より若い人の来場が目立ち、類似催事より坪当たりの売上高は2割高かった」(そごう・西武)と効果的だったようだ。

 東武百貨店池袋本店は、3月25日から6日間、「楽天市場うまいもの大会」を開催する。楽天市場で人気の約50店が出店する。

 楽天は「百貨店と本格的に組むのは今回が初めて」(太田智志・楽天事業推進チームリーダー)。ネット通販は20~30歳代と若い人の利用が多い。ネットでの買い物になじみの薄い中高年層に認知を高めたいと、百貨店側にアプローチした。

 東武百貨店は、地域催事に強いことで知られている。年間を通じて鹿児島や京都など7地域の地域物産展を開催し、特に人気の高い北海道物産展では、2週間で売上高が5億円に上るほどだ。

 しかし、「数年前からネット通販が普及し、いつでも地方の名産品が取り寄せられるようになり、百貨店の物産展はなくなってしまうのではないか」(堀越昇・東武百貨店催事企画担当マネージャー)という危機感があったという。

 百貨店にとっては、催事の種類やネット広告など販促の幅が広がり、楽天にとっては「ネット通販ではできない試食や、接客ノウハウが学べる」(太田氏)と相乗効果が大きい。たとえば、楽天市場で4月分まで完売している人気のラーメン店では、物販のみならずイートインも設ける。

 ネット通販市場は6兆6000億円(野村総合研究所予測)と、昨年7兆円を割り込んだ百貨店市場と匹敵する規模となった。百貨店も独自のネット通販に力を入れるが、まだまだ全体の売上高に占める比率は1%前後と小さい。若者などを取り込みたい百貨店と、次の成長ステージに向けて対面販売を模索し始めたネット通販の思惑が一致しているようだ。

 百貨店の競合相手は百貨店という時代はとうに過ぎた。相次ぐ共同催事の動きは、成長著しいネット通販との連携なくしては生き残れないという危機感の表れだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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