経営 × 財務

有識者会議の座長が明かす
コーポレートガバナンス・コードに込めた理念
池尾和人・慶應義塾大学経済学部教授(上)

【第7回】 2015年5月27日
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 プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)に基づくコード(指針)になっているのは、そのためです。もし、望ましいガバナンスのモデルが1つで、それを守ればいいということであるなら、会社法などで厳格に規定すればよいということになるはずです。

 コーポレートガバナンスには、画一的な解が存在するわけではないのです。そうした多様性を踏まえて、コードは「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)という手法を採用しています。実施しない理由について十分な説明責任を果たしていれば、原則であっても一部を実施しないことも認めているのです。

 原則の一部を実施しない場合のエクスプレイン(説明)についても、この程度必要だ、という基準があるわけではありません。したがって、最初は戸惑いもあると思いますが、コーポレートガバナンス報告書が出されるうちに、試行錯誤を繰り返すなかで相場観のようなものが形成され、投資家や世間から、説明内容について十分で妥当なものだ、と受け取られるレベルに収斂されていくもの、と期待しています。

 「ひな形が欲しい」という声があることも承知していますが、以上のような理由から、それをお示しすることはできません。ガバナンスの内容を決めることは、経営者の責務の一部と言って良いでしょう。経営トップは、法務や経営企画部門に丸投げするのではなく、経営者ご自身でガバナンスのあり方を考えていただきたいと思います。

>>後編は6月4日(木)公開予定です。

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